「井の中の蛙大海を知らず」と言うことわざがありますように、教会において、自分の所属する教会以外は訪れたことがないという方が時々います。私たちは自分の教会だけに留まっていると、視野が狭くなって、本当の良さが分からない、あるいは見えていないことがあるのではないでしょうか。
都筑教会で以前、教会が鷺沼から都筑に移って、不便になった、使い難いと言っていた方がいました。鷺沼教会のお近くに住んでいた方には申し訳なかったとは思います。確かに遠くなったことで不便を感じている方もおられるでしょう。けれども本当に都筑教会は、皆さんにとって不便で、使い難いでしょうか。
先週、藤が丘教会の主任司祭の鵜飼神父が不在のため、都筑教会の日曜日ミサを榎本神父に任せて、私は代わりに藤が丘教会の日曜日10時ミサを手伝いました。改めて思ったのは、都筑教会の良さです。そしてまた藤が丘教会の良さも少し分かったように思います。藤が丘教会では、歓迎と感謝の雰囲気を感じました。「歓迎する。感謝する。」これは都筑教会にとっては、もしかしたら足りない部分かもしれません。
他の教会を訪れて、自分が担当する教会の良さを知ることは、信徒の皆さんも必要なことでしょう。都筑教会の良さの一つは、サレジオ学院の厚意もあって、何よりも駐車場がどこの教会よりも多く停められることだと思います。そして、もう一つは、教会が大きく、そして広く、明るいので聖堂でミサに与っている時も、またホールでお茶を飲んでいる時なども多くの方は雰囲気の良さを感じているのではないでしょうか。そしてさらに先日訪問されたサレジオ会管区長も褒めていましたが、都筑教会の聖歌隊がしっかりしているので聖歌も充実していることです。また他にも数々あると思います。
パウロは、コリントの教会に宛てた第一の手紙の中で「もし人が、自分は何かを知っていると思うなら、その人は、知らなければならないほどのことすら、まだ知っていない。」(1コリント8.2)と言っています。当時、コリントの信者は、偶像について知識がありました。けれども彼らは、偶像の宮の中に入って平気で飲み食いしていました。つまり相手がどのように思うかは関係ないといった振る舞いをしていたのです。これは自分たちの教会が常に正しく、立派だという傲慢な心から来ていたのではないでしょうか。つまり彼らは本当に大事なことを知らなかった、あるいは気づかなかったということです。
私たちも自分の教会だけに満足していると大事なものが見えなくなってしまうかもしれません。教会の発展を考えるとき、私たちは、常に謙虚な心で他の教会の良いところを学び、そして自分の教会の良いところを大事にして活かし、さらに足りないところは改善していかなければならないと思います。それによって、都筑教会のさらなる発展に繋がっていくからです。
ですから、どうぞ皆さん、旅行をしたときには、現地の教会のミサに与り、そして時には近隣の他の教会にも訪れてみてはいかがでしょうか。
主任司祭 西本裕二