手と手

イエスとの出会い

1月31日は、サレジオ修道会の創立者聖ヨハネ・ボスコの記念日でした。通称ドン・ボスコ(ドンはイタリア語で神父ですから、ボスコ神父)と呼ばれていますが、このドン・ボスコには、神学生の頃の親友にルイジ・コモロという若者がいました。彼は病弱でしたが、ドン・ボスコとの約束で「もし死んだら、先に死んだ方がそれを知らせること」を決めました。
あるときルイジは、病気になって、司祭になる前に死んでしまったのです。ところがその晩、ドン・ボスコが寝ているとき、地響きのような音がドン・ボスコに近づいてきました。他の部屋の神学生たちもその音を聞いて起きてきましたが、今度は突然、人のような大きな声が聞こえてきたんです。それはドン・ボスコにしか聞こえませんでした。その声は「ドン・ボスコ、私は救われた」というルイジの声でした。ルイジは、ドン・ボスコとの約束を守って、救われたことを伝えに来たのです。

このルイジ・コモロという人は、司祭を志していましたが、志半ばで亡くなってしまいました。しかし、彼は最後まであきらめないで深い信仰をもって、イエスによる救いを待ち続けていました。そのおかげで彼はイエスと出会って、救われたのではないかと思います。
このルイジ・コモロの救いの喜びは、今日祝う「主の奉献」に登場する老人シメオンの人生にも似ています。それはシメオンが安らかにこの世を去るべき条件がイエスと出会うことだったからです。

私たちも人生の最後、これで良かったと思えるためにも、また安らかに去っていくためにも、イエスとの出会いというものを心から求め、そして諦めないでイエスによる救いを待ち続けることが大事ではないかと思います。

主任司祭 西本裕二

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