アメリカ出身のロバート・プレヴォスト枢機卿が新教皇に選出されました。ロバート・プレヴォスト枢機卿は、なぜ教皇名にレオ14世を選ばれたのでしょうか。
それは教皇レオ1世と教皇レオ13世にあやかって、レオ14世とされたと言われています。

レオ1世は、グレゴリウス1世と並んで、「大教皇」と呼ばれています。レオ1世は第4回カルケドン公会議(451年)で称賛を浴びた優れた神学者でした。公会議の参加者たちはこのように認めたと言われています。「使徒ペトロは、レオの口をとおして語った」と。それほどレオ1世は、聞く人の心を打つ話をされたということです。
次に1878年に選出されたレオ13世は、当初、教皇庁では無名の存在で、健康状態も良くなかったので、その在位は短いであろうと多くの人は考えていました。けれども予想を裏切って、25年の長きにわたって教皇として働かれ、多くの功績を残しました。
その功績は、貧困層に寄り添い、労働者のために立ち上がったことで知られています。そしてそれは教皇レオ13世が労働者の権利とカトリック社会教説に重きをおいていたからです。また教皇レオ13世は、労働者の権利に関する回勅『レールム・ノバールム(新しい事柄について)』を著し、今日に至るまでカトリック教会の社会教説の手本となっています。

この二人の教皇名にあやかることは、新教皇レオ14世のこれからの姿勢を示す力強い表明でもあると言えます。
実際、教皇レオ14世は就任時の最初のメッセージにおいて「つねに平和と愛を求め、苦しんでいる人々に寄り添う教会でありたい」という言葉を発信しています。それは教皇フランシスコの路線を継承しているかのようで、彼がいかに、貧しい人や弱い立場にある人、また虐げられている人などの救いを考え、その実現のために働きたいという思いであるのかを感じさせます。

現代世界は、戦争や内乱、貧困や難民、人権や環境といった諸問題が山積しています。このような世界にあって、教会が苦しんでいる人々に代わって声を上げ、手を差しのべる場所となるために、私たちカトリック信者は、祈るだけでなく、それぞれ自分のできることで取り組んでいく決意を、教皇レオ14世の思いに合わせて新たに致しましょう。

主任司祭 西本裕二