一年中でもっとも体力を消耗する暑い夏がやってきました。皆さんはどのようにお過ごしでしょうか。
夏の暑さに対して、「不満やストレスを持ちますか」という某企業のアンケートにおいて、95%の人が「たまにある」とか「いつもある」といった、いずれかのような回答をしています。つまりそれだけ夏の暑さは、多くの人が不満やストレスを抱えやすいということかと思います。
私も夏の暑いときは、やはりイライラして、不満を持つことがあるように思います。けれども、気をつけないとそのイライラや不満が言動に現れて、人に嫌な思いをさせていないか心配です。

では私たち信者がこの夏の暑さに対して、イライラせず、不満を持つことなく過ごすためにどうすれば良いのでしょうか。信仰があれば我慢できると考えがちですが、そう簡単にはいきません。からし種ほどの信仰もないから悩むのです。
では神が求めるものは何でしょうか。それは旧約聖書の「預言者ヨナ」の物語を考えるとヒントがあるように思えます。

ヨナは、ニネベの町の悔い改めを求めるために神が呼び出したにもかかわらず、逆らって逃げ出します。しかし神の与える様々な試みによって、結局ニネベに行きます。ところが神はニネベの人々が悔い改めたので罰することをしませんでした。それに対してヨナは大いに不満を持ちました。ふてくされて野原に座り込みます。それを見た神は、ヨナを憐れんで、暑さをしのぐためにとうごまの木を生やして、日陰を作ってあげました。するとヨナの不満は消え、大いに喜びました。
しかし翌日、神は虫を送って木を枯らし、さらに熱風を送ってヨナを困らせます。すると再び不満をもって「生きているよりも、死ぬ方がましです」(ヨナ4.8)と言って、神に八つ当たりをします。ついに神は、ヨナを諭します。「お前はとうごまの木のことで怒るが、それは正しいことか」(ヨナ4.9)と。そして「お前は、自分で労することも育てることもなく、一夜にして生じ、一夜にして滅びたこのとうごまの木さえ惜しんでいる。それならば、どうしてわたしが、この大いなる都ニネベを惜しまずにいられるだろうか」(ヨナ4,10-11)と。

これは神がヨナを通して、私たちにご自分のように人を思いやる心、憐れむ心を持つことを求めているのだと思います。あくまでも私見ですが、これが夏の暑さのイライラや不満を解消する方法の一つではないかと思います。私たちがヨナのように自分のことだけを考えて過ごすのではなく、人を思いやり、憐れむことで、暑さなど余計なことにとらわれない大らかな気持ちになれば、不平、不満をあまり持たずに済むのではないでしょうか。

主任司祭 西本裕二