ベネディクト16世は、教皇職就任ミサの説教において、この日々に体験したことを思い起こして、次のように述べ始められます。(カトリック中央協議会ホームページ参照)

「さまざまな出来事が集中したこの日々の間、わたしたちは諸聖人の連願を異なる折に三回となえる機会がありました。わたしたちの教皇ヨハネ・パウロ二世の葬儀のとき。枢機卿たちがコンクラーベ(教皇選出会議)に入るとき。そして今、わたしたちは、『主よ、彼を助けてください。聖ペトロの新しい後継者を支えてください』と歌いました。それぞれの機会に、わたしは特別な意味で、大きななぐさめを覚えました。
前教皇は、次のいのちの扉を通り、神の神秘のうちには入られたのですが、それは孤独の旅路ではありませんでした。信じるものは決して孤独ではありません。あらゆる時代の聖人たちが列を成して教皇を、神の栄光に伴いました。主によって選ばれる者を選挙するときも、わたしたちは孤独ではありませんでした。神の友に囲まれ、導かれ、案内されました。

そして今、神の弱い僕に過ぎないわたしは大きな務めを受け取らなければなりません。愛する皆さん、わたしたちは今、神が人類とかかわられた歴史において、偉大な数々の名前に代表されるすべての聖人たちに呼びかけたのです。こうして、わたしもまた確信を持って言うことができます。わたしは孤独ではありません。事実、わたしが決して一人では担うことのできないものを、わたしが一人で担う必要も無いのです。神の聖人たち皆がわたしを守り、保ち、担うためにそこにいてくれます。そして、皆さんの祈り、愛、信頼と希望がわたしと共にあります」と。

「孤独ではない」、「すべての聖人に、信者に、友に囲まれている」という確信こそ、難しい現代において教会を導く新教皇ベネディクト16世の慰めであり、今後の使命を雄々しく担われた理由だと思います。

わたしたちの信仰生活のみならず、人生において危険なことは「わたしの孤独」にしばしば陥りがちなことです。これによってわたしたちは目標を見失い、どのように生きていかねばならないかを掴めなくなってしまいます。「わたしたちは孤独ではない。」

「はっきり言っておくが、どんな願い事であれ、あなたがたのうち二人が地上で心を一つにして求めるなら、わたしの天の父はそれをかなえてくださる。」(マタイ18,19)

キリストの言葉に励まされ、教皇様が信じ、期待するわたしたちの祈りを、特に聖ペトロの祝日のある6月に、諸聖人と共に捧げたいものです。

主任司祭 小坂正一郎
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