先日、故・植村美代子さんの一周忌を前に、クリプタ購入を希望なさっているご主人と息子さんたちを碑文谷教会に案内しました。昨年の葬儀・告別式の際、次男の方から「母が大好きだったフォーレのレクイエムを流していいですか」と頼まれたことを思い出しました。
昨秋10月11日~12日、「第39回日本死の臨床研修会」が岐阜市で開催されました。開催に先だって、研修会参加者を対象に「人生の最後に聞きたい曲」のアンケートが実施されたそうです。日々「死」と向き合う現場で苦闘している職種(医師・看護師・介護スタッフ)の方たちなので、一般的な傾向とは少し異なるかもしれませんが、興味深いアンケート結果でした。一番多かったのは「クラッシック」。その他にも「虫の鳴き声」「家族の声」などの答えがあったのですが、具体的な曲名での回答の歌の半分は一人のみの投票だったそうです。まさに「十人十曲」というわけです。
ラストソングに(この世の最後に聞きたい曲)のアンケートの結果は下記のとおりでした。
- アメージング・グレイス(讃美歌) …… 57票
- 糸(中島みゆき) …… 41票
- 故郷(唱歌) …… 39票
- カノン(パッヘルベル) …… 31票
- 時代(中島みゆき) …… 26票
- 川の流れのように(美空ひばり) …… 25票
上位6曲の中に中島みゆきさんの曲が2つも入ったのは、運命を受け入れ、そして前を向く、そんな歌詞が好まれているのかもしれません。キリスト教がマイナーなこの日本で、讃美歌が1位になったことは嬉しいことです。アメージング・グレイスの歌詞は次の通りです。
驚くべき恵み、なんと甘美な響きよ。私のような悲惨な者を救って下さった。かつては迷ったが、今は見つけられ、かつては盲目であったが、今は見える。(中略) そうです。この体と心が滅び、私の死ぬべき命が終わる時、私は、来世で得るものがあります。それは、喜びと平和の命です。
主任司祭 松尾 貢