マクロン大統領の新党が総選挙で圧倒的勝利を収めたというニュースが話題となっています。社会党内閣の経済大臣だったマクロン氏が大統領選に勝利。そして自分で立ち上げた党が共和党などの既成政党相手に大勝利をおさめました。その政党の名前は「共和国前進」です。
パリ在住の竹下節子さんが自分のブログL’art de croireで、フランスのカトリック雑誌『La Vie』に掲載された“フランシスコ教皇とマクロン大統領の五つの共通点”という興味深い記事を紹介しています。(ローマ法王とフランス大統領)
このふたりは、年齢はマクロンが教皇の半分もいっていないけれど、前任者たちと違って型破りであると述べて、共通点を指摘しています。
- 1. イエズス会つながり
- フランシスコ教皇はイタリア系アルゼンチン出身のイエズス会員。マクロンはアミアンのイエズス会系中高一貫校(フランスでは七年)で学び、両親は不可知論者なのに12歳で洗礼を受けました。学校にイエズス会員が常勤していた最後の世代の生徒。パーソナルな能力に注目して個別の成功を目指すことと、体制的よりも内的にアプローチすることを教えられた、と大統領は述懐しています。
- 2. En Marche (前進)という概念。
- 単に歩くという意味だけでなく、目的に向かう途上にあるというニュアンス。教皇はどこかの国の「岩盤規制の一点突破」みたいなやり方ではなく、広く全方向的に窓を開いていくような働き方をします。離婚して再婚したカップルを再び共同体へ迎え入れる、多宗派とのエキュメニカルな理解、ヨハネ・パウロ二世時代に破門された聖ピオ十世会との歩み寄りなど、歩幅は小さくとも少しずつ動き進むことを好む。問題の解決とは人々が並んで歩くことによる出会いの中で見出されるという信念。目は天を仰ぎ、足は地につけて“歩いていく”ことが教皇のやり方です。
マクロン大統領の「前進」という運動名はイデオロギーではなく、現実との接点を表現します。物理的なアクセス可能は、社会的公正を目指す政治の一部と捉え、実際に身体を動かす「可動性」の徳を大切にする。彼が大臣時代にそれまで公共機関の独占だったバス路線を自由化したことで、フランス中を長距離バスで移動する人が大幅に増えたことがその典型と言われています。他の三つの共通点についてはブログを検索なさってください。
主任司祭 松尾 貢