数週間前幾人かのサレジオ会員と共にケニアのカクマにある国連難民キャンプを訪れました。私がそのキャンプに行ったのは。南スーダン、ルワンダ、コンゴなどの難民に会うためだけではなく、そこにいるタンザニアとケニア出身の5人のサレジオ会員を激励するためでした。
部族間の衝突により流血の絶えない南スーダンとの国境の町カクマに着くと、トゥルカナ族に出会います。ケニアの北西部で灼熱の乾ききった土地に住む34万人の人々です。干上がってしまった川床を横切ると、そこには国連の難民キャンプがあります。様々な人種、部族、多様な習慣や宗教がひしめき合っています。そのような“バベル”の真っただ中に兄弟であるサレジオ会士の姿があります。ヴァルドッコの若者たちのためにドンボスコがしていたことを彼らもしているのです。私はそこで、徹頭徹尾アフリカ的な21世紀のヴァルドッコに出会いました。
毎日250人以上の若者たちが職業専門学校に通ってきます。大工、電気システム、電子工学、木工、マネージメント、秘書などの技能をサレジオ会員や教員から学ぶためです。若者たちが安住の地に移った時に、人間らしく生きていけるような職業を身につけさせるのです。学校の若者たちや他の人たちのために毎日食事も供給されます。大部分は国連がまかなっています。私たちも共に食べました。大きな喜びと沢山の笑顔で味付けされたお米の料理でした。
私は若者たちが実際に学んでいるところを見せてもらいました。彼らの大半は成人した若者たちでした。そこはまさに人生の学校だと実感しました。仕事を身につけることは大事です。けれども、もっと価値があるのは彼らが日々体得することです。多様性の中で、平和と調和を保って共に生活すること、同じ目的のために力を合わせること、いろいろな意見や、文化や宗教の表現を尊重することを学び取っていきます。
<サレジオ会総長の六月のメッセージより抜粋>
上記サレジオ会東アフリカ管区には、碑文谷教会で受洗した森戸千尋神学生が所属しています。外務省に勤めていたお父さんの関係でアフリカに親しみを持っていた彼は、タンザニアの修練院、哲学院で学び、今夏からケニアで中間期を過ごすことになっています。アフリカで司祭職を目指している日本の若者がいることは、驚きと同時に素晴らしい希望を抱かせてくれるのではないでしょうか。
主任司祭 松尾 貢