10月30日~11月2日にかけて、韓国に行ってきました。目的は二つ。一つは昨年11月に帰天なさった金度淵師(前・神奈川2地区新子安教会担当)の遺稿集を師のお母様に届けること。二つ目は水原教区の東アジア宣教研究所の招きで、「日本キリシタン史」についての講話を行うことでした。泊めていただいたのは、水原教区の七宝教会。そこの主任司祭は43歳の若い司祭で日本語も話せるシモン崔榮均師。師は東アジア宣教研究所の日本部門の研究員であり、また水原カトリック大学で社会学を教えている学究肌の司祭。師が四日間大型の車を運転し、送迎から護政府司教館や墓参、殉教地などの案内をしてくれました。

彼に、「七宝教会の信徒数は何名ですか?」と質問すると、「今は2400名」という返事。鷺沼教会と同じ規模だと思っていたら、なんと数か月前に近くに新しい小教区教会の献堂式があり、かなりの信徒が新教会に移ったとのこと。水原教区の司教館、司教館事務所、カテドラルのまるで区役所と区民会館のような大きさに圧倒されました。シモン神父様の説明によると、現在の韓国ではプロテスタント諸教派が最大グループ(その七割が長老派)で、二番目が仏教、三番目がカトリック。カトリックは人口の12%ということでした。その勢いに驚きの連続でした。

何故、韓国教会はこんなに発展しているのか、という質問をよくうけます。いろいろな説明がなされていますが、2012年に刊行された浅見雅一・安延苑共著『韓国とキリスト教』は、韓国社会にキリスト教が深く浸透した要因として、次の点を挙げています。

  1. 国の原信仰が一神教的要素を持っていたので、一神教であるキリスト教を受容する下地となった。
  2. 朝鮮王朝の朱子学の理気二元論には、キリスト教の世界観に類似する点があった。
  3. 儒教の倫理重視の姿勢が、キリスト教の倫理への接近を容易にした。
  4. 植民地時代にキリスト教が抗日独立運動の精神的支柱となっていた。

朝鮮のキリスト教の特徴としては、宣教師が不在の状況で儒者が書物を通して受容したことが挙げられます。日本に比べて、信徒の自主的行動力と教区司祭の多さと若さが韓国カトリックの大きな特徴といえるでしょう。

主任司祭 松尾 貢

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