​ローマで開幕した「アマゾン特別シノドス」

アイキャッチ用 松尾神父の今週の糧

「アマゾン周辺地域のための特別シノドス(世界代表司教会議)」が10月6日からローマで開かれています。初の社会回勅『ラウダート・シ』で環境問題を訴えたフランシスコ教皇は言います。

“気候変動の問題は、私たちの時代で最も深刻で憂慮すべき現象の一つです。世界各国はこの現象と闘う義務があります。気候変動は倫理と平等、社会正義に関わる問題で、明らかな人道的、倫理的、社会的退廃に結びついているため、私たちの消費、生産モデルの意味について考えざるをえないのです”。

今回の司教会議は、アマゾン地域で孤立する貧しい先住民社会を支援するための開催でもあるので、ブラジルなどアマゾン周辺諸国9カ国の113人を含む184人の司教が招集され、3週間にわたって議論が交わされます。10月7日午前、全体会議開始の前、大聖堂ではアマゾン地域を代表する先住民の人びとが、伝統の調べに声を合わせ行列を行いながら、教皇と共に、シノドスホールへ向かって会議が始まりました。

参加司教たちによる発表と討議の内容をいくつか箇条書きで示すと、

  • 環境問題における今日の若者たちの積極的な役割
  • 企業による水のくみ上げと帯水層汚染による先住民への人権侵害
  • 地下資源の採掘作業の廃棄物への河川の汚染、コカなどの栽培のために伐採される森林の危機
  • 先住民の教会共同体における典礼とインカルチュレーション
  • 遠隔地におけるミサや聖体拝領の頻度の問題とその司牧的対応
  • アマゾン地域で起きている資本主義的発展モデルによる自然破壊、森林火事、社会腐敗、違法な栽培、麻薬売買の悲劇的結果。

以上のような課題や叫びに対して、教会は何をなすべきなのかという問いにこれから3週間にわたって討議が行われ、それは第二バチカン公会議の現代世界憲章の冒頭に出てくる有名な言葉、“現代の人びとの喜びと希望、苦悩と不安、特に貧しい人びととすべての苦しんでいる人びとのものは、キリストの弟子たちの喜びと希望、苦悩と不安でもある”からなのです。

主任司祭 松尾 貢

 

 

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