チプリアヌスの「主の祈り」(つゞき)

アイキャッチ用 長澤神父の今週の糧

チプリアヌスの生きた時代はローマ帝国の大迫害の真っ只中で、クリスチャンは、いつ捕らえられるかと、絶えず緊張に慄いていた。そんな中で、主が教えて下さった祈りは、まさに、おん父のへの嘆願であると同時に、おん父からの「心配するな」との安堵の「こだま」であったのだろうか。祈っているうちに、その声は自分ではなくイエス・キリストの声に変わっていたと記している。

当時の皇帝、ヴァレリアヌスは、主に教会の聖職者たちを捕縛した。捕らえられると直ちに神々へ奉納を強要され、拒めば即死刑宣告となった。この時代、すでに、弁護士がつく裁判制度であったにもかかわらず、宗教の場合弁護人がつかなかった。そんな中で「主の祈り」を唱えると父なる神は、主が約束されたように(ヨハネ16章7節)、どんな審問にも答えることができる弁護人・聖霊を送って下さるとチプリアヌス自身、殉教者から聞いたのだろうか。

主任司祭 長澤幸男


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