さる6月2日(土)フランシスコ教皇は日本の教会のために三人の司教を任命しました。長く空位が続いたさいたま教区司教としてマリオ山野内倫昭師(サレジオ会)。さらに、先頃前田大司教が枢機卿に任じられた大阪大司教区の補佐司教としてホセ・アベイア師(クラレチアン会)と酒井俊弘師(オプス・デイ)です。残念ながら、空位となっている新潟教区司教は、任命されませんでした。サレジオ会日本管区の内部事情から観たとき、現役の管区長を引き抜かれることは人材難の管区の現状からすれば痛すぎることこの上なしという感じですが、教皇様の意向であれば修道者としては、“はい”と答える他ないわけです。
今回の人事も含め、教皇庁の日本の教会に対する姿勢が見えてくるようです。日本の教会は信徒数44万で高齢化が進んでいます。しかし、それは日本国籍信徒に関してであって、外国籍の信徒の数は増加する一方で若者も大勢います。外国籍信徒数は50万を超えており、今後ますます増加することは間違いありません。そういう日本の教会の状況を踏まえて教皇庁は手を打っているように思えます。
昨年は那覇教区長に戦後初めての外国人司教、カプチン・フランシスコ会員米国人司教が誕生しました。昨年末には神言会の菊地司教が東京大司教に、そして今回の3人の任命です。そこに共通していることは、グローバルな視点と語学力を含めた国際性のある人材の登用です。
菊地大司教はガーナでの宣教師経験とアジアカリタス総裁、国際カリタス評議会メンバーとしての実績があります。山野内師は小学校3年生の時、大分県佐伯市から一家でアルゼンチンに移住、南米でサレジオ会に入会し司祭叙階、アルゼンチン管区の修練長も務めました。大阪の補佐司教となるアベイア師はスペイン人で大阪での司牧のあと、クラレチアン会の総顧問を12年、総長を二期12年勤めて大阪に戻ったばかりの国際派です。また酒井師はオプス・デイという20世紀に生まれた属人区という新しい教会法の概念の活発なグループに属する方でスペイン、イタリアで学ばれました。そのような二人の国際派がこれから前田枢機卿様を補佐していくわけです。
日本の教会がやや保守的な長崎管区(九州・沖縄)と革新的な東京管区(横浜教区~札幌教区)の間にあって、大阪管区(広島教区~名古屋教区)が主導権を発揮してもらいたいというバチカンの意図が、見てとれます。
主任司祭 松尾 貢