毎日新聞11月19日朝刊の「女の気持ち」欄に次のような記事が載っていました。

 “「なんでこの時代に女子大?勉強できなかったのかな」。私の通う大学の前を行く通行人の会話が聞こえてきた。女子大に対する世間の否定的なイメージに疑問を持つ。高校まで過ごした共学の学校では、強い主張や意見を持ち、男子と議論する女子は嫌われる傾向にあった。「男子の意見でいいじゃないか」「もめ事を増やすな」という空気があり、クラスになじむ女子は男子のサポートに徹する人ばかりだった。しかし女子大では、性別を気にした譲り合いはない。誰かの意見に従うわけではなく、皆対等な立場で意見を交わす風土がある。男子受けを意識したモテ服にとらわれる必要もない…”

上記の文章を読んだとき、先月帰天なさった川中なほ子先生のことが思い出された。先生は東京女子大時代にカトリック研究会の初代会長・有吉佐和子さんの後を継いで、2代目の会長としてプロテスタントの大学でカトリック研究会を引っ張って活躍なさった方だ。現在のような対話の時代ではなかったので、カトリックの司祭を学内に呼ぶことが出来ず、四谷にでかけてはイエズス会の司祭の指導を受けていたと当時の思い出を語ってくださった。先生は札幌の藤女子大の副学長を長く勤められ、また東女のカト研OG会の活動、日本ニューマン学会の会長としても活躍なさっておられた。先生からOG会の集まりに呼ばれたことがある。最初はドンボスコについて。次は、聖フィリッポ・ネリとヘンリー・ニューマンの関係についてだった。そんな折、女子大の意義について、川中先生が強調された内容が、上記女子大生の主張と重なる。

 “米国マサチューセッツ州のウエルズリー女子大。この大学のミッションは<世の中に変化をもたらす女性に優れたリベラルアーツ教育を行うこと>。この女子大学から、米国初の女性国務長官マデレーン・オルブライト、ヒラリー・クリントン、ノーラ・エフロン等が輩出したのです。日本でも、国連難民高等弁務官の緒方貞子さんだってそうでしょう、女子大だからこそ、リーダーシップを学ぶことができたんですよ”

故・川中なほこ先生の言葉が懐かしく思い出される。

主任司祭 松尾 貢

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