教会の養成講座の中に、斎藤さん指導の読書会があります。先日の読書会では『ザビエル書簡集』の中からピックアップしたものを読んで分かち合った、と伺いました。ザビエル全書簡は故・河野純徳師によって翻訳され、平凡社から刊行されていますので、日本語で読むことができます。
先日の読書会のレジメをいただきましたが、ザビエルが日本での宣教を終え、中国に赴くべく、インドのゴアで1552年4月7日に書いた、リスボンの院長宛書簡の中に次のような言葉がありました。
「親愛なる兄弟よ、実世界で試練を受けた人を派遣して下さい。実世界で、いろいろな迫害に遭い、神の慈しみによって勝利を収めた人を送って下さるよう特にお願いしたいのです。迫害を受けた経験のない人たちには、大きな仕事を任せることはできません」。
日本での外国人蔑視や迫害、寒さや食事の貧しさなどの苦労、知的関心の強い日本人からの質問や詰問に耐えうる心身のタフさを求めるザビエルの気持ちがよく現れている文章です。
上記の手紙を書いた数ヵ月後、中国を入国を待つ上川島で帰天した、ザビエルの苦難に満ちた生涯の中から生まれたお祈りをご紹介したい。四旬節の核心を掴んだお祈りではないでしょうか。
「十字架上のキリストへの祈り」
主よ、私があなたを愛するのは、あなたが天国を約束されたからではありません。あなたに背かないのは地獄が恐ろしいからではありません。
主よ、私を引きつけるのはあなたご自身です。私の心を揺り動かすのは、十字架に付けられ、侮辱をお受けになったあなたのお姿です。あなたの傷ついたお身体です。あなたの受けられた辱めと死です。
そうです、主よ。あなたの愛が私を揺り動かすのです。ですから、たとえ天国がなくても、主よ、私はあなたを愛します。たとえ、地獄がなくても私はあなたを畏れます。あなたが何も下さらなくても、私はあなたを愛します。望みが叶わなくても、私の愛は変わることはありません。