教会に隣接するマンション工事もほぼ終了し、来月からはいよいよ入居が始まりますが、志願院があったころのこの季節、教会前の道沿いに彼岸花が一斉に咲いていたことを懐かしく思い出します。
「彼岸花」は里山植物の代表といわれています。北海道を除く日本各地に分布するこの花は、古来、人びとの生活と深く結びついてきたこともあり、千を数える呼び名で親しまれてきました。
千余の呼び名を大きく分けると、1)毒性、疾病にかかわる呼び名 2)仏教、死、葬儀などにかかわる呼び名 3)形態や生態を表した呼び名 4)子供の遊びから生まれた呼び名、 5)動物や自然現象の名を冠したものと、概して5つのグループに分類できるそうです。
その中で、最も多いのは、2)仏教、死、葬儀などにかかわる呼び名で、次のようなものです。シビトバナ、シビトクサ、ユーレイバナ、ソーシキバナ、ソーレングサ、ケサカケ、ハカバナ、ジゴクバナ、オボンバナ、ホトケバナ、マンジュシャゲ、テラバナ、ジャンボンバナ、ジゴクモメラなど。彼岸の季節になると、計ったかのように一斉に咲きだすこの花はお墓や死と関連づけられる宿命にあったのかもしれません。
ところで、『大法輪』という雑誌をご存じでしょうか。大法輪閣という仏教系の出版社が出している月刊誌ですが、意欲的な編集で知られています。例を挙げると今年の2月号では≪徹底比較≫「仏教とキリスト教」と題して、60頁もの特集を組みました。そして秋の彼岸の月、この9月号では「死んだらどうなる」というテーマで、仏教、キリスト教、イスラム教の死後の世界についての特集を載せています。
キリスト教の部は、上智神学部の岩島忠彦教授が執筆しています。師の説明は簡潔によくまとめられています。皆様にも読んでいただきたいので、師の解説の部分を印刷いたしました。秋分の日、彼岸花を愛でつつ、お墓参りをすると共に、キリスト教の教える死後の世界について家庭で、友人同士で語り合ってみませんか。