青少年問題関係の記事や本を読んでいますと、最近、よく指摘されることは、若者の睡眠時間がますます少なくなっているということです。それは、携帯、メール、インターネット、ビデオゲーム、漫画などのせいだそうです。幼児には、そういう問題はまだないかもしれませんが、お兄さん、お姉さんがいる家庭では、気をつけなければならないことでしょう。
コロンビア大学のジェームズ・ガンウィッシュ(臨床心理学教授)は「スクリーンから発されるいかなる白光線も、睡眠を促すメラトリンのホルモンを減少させる。また、寝る時間を遅らせることは、イライラ、集中力の減少、攻撃性の増加の要因となる」と指摘しています。
寝ることは、生きるために必要なこととは言え、子どもにとっては、孤独の最初の体験とも言えます。なかなか寝つかない子どもたちというのは、多くの場合、親から離れて、この孤独の体験を肯定的に受け入れられないからでしょう。親は子どもを寝に行かせるのではなく、寝に連れて行くことを重視しなければなりません。
そして、子どものこころに残ってほしいものがあるなら、その時、寝る直前に、言葉を考え、やさしく言ってあげると、教育的に見事な効果を期待することができます。
ドン・ボスコは、毎晩、トリノのサレジオの寮生にブオナ・ノッテ(イタリア語で“お休みなさい”という意味)という短い話をしていました。イエス様やマリア様や聖人たちのこと、また、こころ温まることばや激励のことば、時にはちょっとした努力目標を聞いた子どもたちは、その内容を反芻しながら、ベッドに休みに行くのでした。ブオナ・ノッテのときにドン・ボスコが蒔いた言葉は、ドン・ボスコの教育的効果の秘訣の一つであると言われています。
子どもが十分な睡眠時間をとるように配慮し、寝つく前のその耳と心に、良いところをほめたり、励ましのことばをつぶやくならば、ドン・ボスコの教育法のすばらしさを体験できるにちがいないと思います。