河野進牧師さんは聖書から題材を取った詩を沢山書いています。次の「香り」という詩は私の好きな詩の一つです。
香り
みどりごには母乳の香り
学者にはほんの香り
医師には薬の香り
百姓には土の香り
漁師には海の香り
大工には木の香り
画家には絵の具の香り
信徒には、キリストの香りがただようように。(IIコリント2:15)
これは「実は、私達は救われる人のもとでも、滅びる人のもとでも、神に捧げられた、キリストのかぐわしい香りです」というコリント書の言葉から作られた詩です。
ご受難の時、ペトロは三度キリスト様を否認しました。しかもペトロは最後の晩餐の席上イエスさまから否認を予告された時、「たとえあなたと一緒に死ななければならないとしても、決してあなたを知らないとは言いません」(マルコ14:31)とイエスさまに反論したにもかかわらず、三度目には「神罰もいとわないと誓って“あなた方の言うそんな人は知らない”といい始めた」(マルコ14:72)のでした。追求する側の論拠は「あなたもあの人と一緒にいた」「あの仲間の一人だ」「おまえもガリラヤ人だ」とありますが、一言で言えば、三年間寝食を共にし、その教えにこころを奪われていたペトロは「キリストの香り」が本人が意識していなくても、その全身から発散されていたからです。
四旬節です。ペトロのように、イエス様と一緒にいる時間を長くして、その「香り」を身につけたいですね!!
主任司祭 田中次生