先日、日本精工グラウンドの住宅街をジョギングしていました。あるマンションから一人の若い女性が「先生!!」と言って手を振りながら走ってきました。私は「田中神父様にもようやく“追っかけ”が誕生したのか!!」と走るのを止めて、彼女を待ちました。「先生!!子供たちが居なくなったのです! どこかで見ませんでしたか?」と質問してきました。サレジオ幼稚園バラ組のお母さんで、同じ組の女の子3人とお兄さんの小学2年生が一緒に遊んでいたのに、全員姿が見えなくなったのです。今お母さんたちで近所を手分けして捜しているとのことでした。私は「じゃあ、走りながら公園その他で気をつけて探しますから」と言って別れました。20分ぐらいあちこち捜したのですが発見できないので、打ち合わせのため元の場所に帰ってきました。

丁度その時、道の反対側からバラ組の3人と自転車に乗った男の子が、一人のお母さんから連行されている感じでやってきました。車で捜しに行くお母さんも車を止め、自分たちだけで勝手な行動をとらないように注意しました。下を見てもじもじしている子供たちに、「ママたちを心配させたのだから、悪いと思ったらちゃんとママたちに謝りなさい!!」と“助け舟”を出しました。子供達は“渡りに船”と口々に「ママごめんなさい」と謝りました。ママたちは「これからはチャント気を付けなさい」と赦してくれました。しかし、タイミング的に少し遅れて謝った男の子は、すぐにママからお叱りの言葉を受けました。「あなたはダメよ!! お兄チャンで、妹達の面倒を見る立場にいる人なんだから!!」と叱られました。「“謝ればすべて赦して貰える”のではないのよ!! 妹たちにもし何かがあったらどうするのよ!!」と。

教会に帰りながら「謝るという“かたち”」で問題解決を急ぎ過ぎた自分を反省しました。親子という長い付き合いの中で、時間をかけても、男の子に“責任”という大事なことを学んで貰おうとする、母親の愛情を感じました。大切な人間関係の中で、安易な“かたちを整える”ことで逃げてはいけないことも、世の中に沢山あります。

主任司祭 田中次生
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