「子どもたちを愛するだけでは足りません。子どもたちが、自分たちは愛されていると実感しなければなりません」。
この言葉は、ドン・ボスコが1884年、ローマからトリノの子どもたちと先生たちに送った手紙の一節であり、「教育的な愛の歌」と言われている言葉であります。
数年前に、アメリカの著名なレオ・バスカリア教授が、「父親を抱擁してみる」という宿題を学生に出したことが話題となりました。「そんなことをしたら父親は心臓麻痺を起こすよ」と言う学生もいれば、「俺が父親を愛していることは知っているから、そんなことはしなくてもいい」と言う学生もいましたが、バスカリア教授は、「やってみること」としか言いませんでした。
次の月曜日、みんなは体験を分ち合いました。「うちの親父は泣き出したよ」とか「俺は感謝されたよ」という体験談があふれました。子どもが、自分は愛されていると実感する時に喜びを感じるのと同じように、親も子どもに愛されていると感じる時は、なんとも言えない深い感動を覚えます。
そして、神様はわたしたちを愛しておられることを示したかったので、人間としてわれわれの一人となるため、この世にお出でになり、ベトレヘムの馬小屋でお生まれになりました。主イエス・キリストの誕生を祝うことは、神の愛を実感することなのではないでしょうか。
イベントや買い物の機会が多いクリスマスシーズンではありますが、クリスマスは、まず神の子キリストの誕生の記念日であり、神様のわれわれに対する愛のすばらしい表現であることを思い出して、その愛を実感しながら、親族や友人とともに、喜びの多いクリスマスを過ごすようにいたしましょう。
助任司祭 アキレ・ロロピアナ