昨年の12月25日、教皇ベネディクト16世はサン・ピエトロ広場でクリスマス恒例の説教を行いました。その際教皇様は、先の2010年11月より目立ってきた中国政府・中国共産党による、バチカン未承認のカトリック司教の任命やバチカン公認司教の弾圧を含めた中国国内におけるカトリック信者の弾圧について、「宗教と良心の自由に対する制限があっても心を失うことなく、キリストと教会への忠誠を保ち、希望の炎を灯し続けるよう」訴え、また「政治・宗教指導者に、信教の自由を尊重する考えがもたらされることを願う」との異例のメッセージを述べられました。
故ヨハネ・パウロ2世が現教皇ベネディクト16世に託されたバチカンの大きな外交的課題の一つは、中国との国交樹立です。中国は目覚しい経済発展をしていますが、内陸部と沿岸部の経済格差、人権問題、賄賂や利権の横行による腐敗など大きな問題を抱えています。一方、その中国では、キリスト信者が急激に増加しているといわれています。(最近の発表では中国全人口の1割をキリスト者が占めるという)。
カトリック信者の増加も目覚しいものがあります(中国でのカトリック信徒数について、中国当局の発表では500万、香港のメディア発表では1200万)。しかし、中国のカトリック教会は共産党弾圧下に起きた、地下教会と愛国教会の対立という問題を抱えています。また、教皇様の書簡の表現によれば「非聖職者、時には洗礼すら受けていない者が、各種の国家機構の名義で司教の任命を含む教会の重大な問題を操り、決定を下している」現状に、教皇様はじめバチカン当局は心を痛めています。
2008年5月16日、バチカンは全世界の信者に対して毎年5月24日の扶助者聖母の祝日に、特に中国の教会のために祈るよう呼びかけられ、ご自分で作られた祈りを発表なさいました。中国の上海にあるシェシャンの聖母巡礼聖堂のマリア様の取次ぎを願う祈りです。
教皇様の呼びかけに応えて、鷺沼教会と富士の聖母像前でのミサの中で祈るように致しましょう。
※ シェシャン……シェ=「人」(やね)の下に「示」。シャン=「山」