南スーダンの独立に想うこと

アイキャッチ用 松尾神父の今週の糧

7月9日、南スーダンが独立しました。英国とエジプトが1899年に共同統治下に置いた南北スーダンは、北部にアラブ系のイスラム教徒が、南部に黒人の伝統宗教とキリスト教信者が多く住み、北部が政治・経済を主導してきました。1956年、南北統一の形でスーダンとして独立しましたが、南北の対立の根は深く、これまで約2百万人の犠牲者が出たといわれています。いわゆるダルフール問題です。

実は、このダルフール問題に鷺沼教会は以前から深く関わってきました。それは元主任司祭シモンチェリ師がダルフールでスーダン難民の世話をしているドナッティ師を長く援助してきたからです。鷺沼教会のバザーの売上金の一部は長期間、ドナッティ師に送られております。

ドナッティ師はイタリア人、シモンチェリ師と一緒に司祭叙階された現役の宣教師です。1962年まで宮崎の日向学院の音楽の先生,サレジオ志願生の養成担当司祭でした。前任の田中師も私もお世話になった方です。アコーディオンの名手、徹底的な清貧の人、厳格な司祭という印象が強い方でした。60年代中頃、師は経済成長著しい日本を離れ、当時貧しかった韓国光州へ着任、その後、韓国が経済成長路線にのると、今度は極度の貧困と悲惨にあえぐアフリカのスーダンに渡りました。ドナッティ師の働きを伝え聞いた光州時代の卒業生や保護者たちが師の支援に乗り出します。そして、韓国からスーダンへ宣教師が派遣されていきます。その中で最も有名な人は、南スーダンのトンジ(Tonj)で医療を通じての宣教活動を8年間行い、2010年1月に癌で帰天した李ティソク神父です。彼は医者、司祭、宣教者として黒人達に友人として接しました。韓国のマスコミは彼を「韓国のシュバイツアー」と呼んでいます。マウンテン・ピクチャー社が製作した師のドキュメンタリー映画「トンジよ、泣くな」は既に韓国で1千万人が見たといわれています。今年6月30日、韓国政府は故人にムグンファ勲章を授与しました。

嬉しいことに、日本もまけてはいません。ロロピアナ師の指導をうけていた一人の日本人青年がこの5月に南スーダンに渡り、現地のサレジオ会支部で志願期を過ごしながら、サレジオ会アフリカ東部管区入会の準備をしています。お祈りください。

主任司祭 松尾 貢

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