日本聖書協会刊行の『SOWER』誌2012年3月号の巻頭言に、昨年広島教区長に叙階された前田万葉司教様の文章が掲載されています。

「お言葉ですから、網を降ろしてみましょう」(ルカ5章5節)
人間の力には限界があります。“謙虚に祈り、かつ働く”姿勢が、聖霊による大漁をもたらしました。これは、魚好きの私が26歳で司祭になったとき選んだ決意の聖句です。
このたび、62歳で司教任命を受けたときにも、「お言葉ですから、網を降ろしてみましょう」と、祈りのうちに拝受いたしました。大切なのは謙虚さだと、いつも自分に言い聞かせながら、この聖句を祈りのうちに生きたいと思います。

前田万葉司教様が、司祭叙階式にも司教叙階式にも選ばれたこの聖句は、まさに謙虚で温厚な師の牧者としての姿を彷彿させてくれます。

今日、鷺沼教会で初ミサを捧げてくださる新司祭・武井アントニオ師が叙階記念カードに選んだ聖句は、「安心しなさい。私だ。恐れることはない」というマルコ6章50節の聖句です。叙階式の際、発行される記念誌『よろこび』誌の中に、この句を選んだ理由が書かれてありますが、自分が選んだ聖句がこれまでの召命の道のりに大きなインパクトを与えただけではなく、これからの司祭職の歩みの中で力と支えになることは、多くの先輩司祭の体験からもわかることです。膨大な聖書の中から、自分に最も心に響く聖句として叙階の際選んだものは、選んだ方の“人となり”をよく示すとともに、召命の道の途上で歩みを照らす光と力となるものなのです。

因みに、今日送別会を行なうロロピアナ師の叙階式の記念の聖句は、「福音を告げ知らせないなら、わたしは不幸なのです」(1コリント9章16節)です。若くして故国を離れ、22歳で来日し、日本で46年間も宣教師生活をおくっている師にふさわしい聖句ではないでしょうか。

主任司祭 松尾 貢
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