9月5日は福者コルカタのマザー・テレサの記念日でした。この夏、鷺沼教会の一人の若者がコルカタ(カルカッタ)のマザー・テレサの修道会の施設に行ってきたそうです。ボランティアで行った方はまた何度も行きたくなる場所だそうです。六甲教会の片柳弘史神父様もその一人です。師は慶大法学部を卒業後、1994年から1年間マザーのところでボランティア奉仕をしました。その時のマザーの勧めで司祭への道を志し、98年にイエズス会に入会しました。

そんな片柳師がキリスト教放送局日本FEBCで放送した内容が1冊の本になりました。その新著『祈りへの旅立ち ―― マザー・テレサに導かれて』でも触れられていますが、最近のマザー関連の本の特徴は「マザーの闇の体験」に焦点を当てていることです。この視点はマザーの死後、マザーが霊的指導司祭や管轄の司教宛の手紙などで徐々に明らかにされてきました。

マザーが実に長い間、霊的闇と寂寞に苦しめられていたこと、その闇の深さに比例して主への信頼が深まって行くマザーのすごさを、片柳師の新著に載っているマザーの言葉から垣間見てみましょう。

「魂の中で、恐ろしい痛みを感じているのです。それは喪失の、神が私を望んでいないということの、神が神でないということの、神が実は存在しないのだということの痛みです」
「この11年間で初めて、私は闇を愛することができるようになりました。なぜなら、今の私はこの闇が地上でイエスが味わった闇と痛みの小さな、ほんの小さな一部分でしかないと信じているからです」
「大きな苦しみを味わう時には、喜びなさい。それは、イエスがあなたを、十字架の苦しみに共に分かち合うほど近くまで引き寄せて下さったしるしだからです」
「もし祈れない時はどうするか、それは簡単なことです。私たちの心の中におられるイエスに祈ってもらえばいいのです。もし祈れないならば、その無力さをイエスに捧げなさい」

 

主任司祭 松尾 貢
LINEで送る