先日目にしたコラムの中で、〈シンプル思考〉についての言及がありました。かいつまんでご紹介しましょう。
グーグルの共同創業者であるセルゲイ・ブリン氏は「成功はシンプルから生まれる」と語り、元ライン社長の森川亮氏は「シンプルに考える」ことの効用を説いています。これはビジネスパーソンだけではなく、スポ―ツにおいても同様で、一流の人ほどシンプル思考の持ち主だと力説します。例えば、元ヤンキースの松井秀喜氏は、〈不動心〉というスタンスを大切にしていました。怪我でスランプに陥った際には、「怪我という変えられない事実を嘆かず、変えられる未来への練習に集中する」と思考を切り替えるよう努めたそうです。これにより怪我から復帰し、2009年にはワールドシリーズでMVPを取るほどの活躍を見せました。
スランプの時にはどうしても、“あれもこれも”と考え、悩んでしまうものですが、“変えられること”と“変えられないこと”を冷静に頭の中で仕分けをし、切り替えたからこその復活劇だったと、振り返っています。変えられることのみに集中するという「シンプル思考」が彼を支えたといっても過言ではないでしょう。
上記のコラムを読みながら、教会においても同様なことがあったことが思い出されます。昨年は第2バチカン公会議閉幕50周年でしたが、公会議後の激動のカトリック教会ではプロテスタントの神学者ラインホルド・ニーバーの下記の祈りがよく引用され、大切にされてきました。
主よ、変えられないものを受け入れる心の静けさと
変えられるものを変える勇気と
その両者を見分ける英知を我に与えたまえ。
神よ、私に変えることのできないものは、
それを素直に受け入れるような心の平和を!
変えることのできるものは、それを変える勇気を!
そして変えるものと変えられないものとを、見分ける知恵を!
この私にお与えください。