「ビッグイシュー」という雑誌をご存じでしょうか。
田園都市線沿線ではあまりみかけないのですが、都内の主たる駅ではホームレスの方がその雑誌を販売している姿を見かけることがあります。JR四谷駅の麹町側出口を出て右側の階段を上がった主婦会館前の通りに表題の雑誌を片手にかざしているホームレスの方がいます。サレジオ会管区長館の賄の方が毎回購読していましたので以前から知っていました。
ビッグイシューは、ホームレスの社会復帰に貢献する企業であり、また英国を発祥に世界で販売されるストリート新聞のことを言います。1991年、英国の化粧品製造会社創業者であるゴードン・ロディックが米国でホームレスだけが販売できる新聞(street newspaper)を見かけたことをきっかけに、友人のジョン・バードと一緒に「ビッグイシュー」第1号を発刊したのが、はじまりです。日本では2003年10月、民間シンクタンクの代表者であった佐野章二が中心となって大阪市で日本語版を発行しました。現在、月2回発行され、1部350円のうち、180円が販売者の収入になる仕組みになっています。
外国版と同じ内容のものもありますが、日本語版独自の取材記事もあります。現在進行中の興味深い連載は、「世界一あたたかい人生レシピ」です。上半分は「ホームレス人生相談」。読者の相談にホームレスの方が答えるというものです。ホームレスの相談に偉い先生が答えるわけではないのです。普通と逆の発想で、意外性を感じます。自主的にか、やむを得ずであっても徹底的な断捨離を実現した方のコメントは意味深く、琴線に響く力を持っているアドバイスが載っています。
12月1日発行の最新号は「ビッグイシュー日本語版300号スペシャル企画」で、画家の下田昌克さんが18人のホームレス販売者の似顔絵を描くというルポが掲載されているそうです。都内に出ることがありましたら、あなたも350円出して購読支援してみませんか。
主任司祭 松尾 貢