すでに、推薦済みかと思うが。『イミタティオ・クリスティ』(『キリストにならう』)を推奨する。「第二の福音書」、「中世の最高の信心書」と称される『イミタティオ・クリスティ』(『キリストにならう』)は14世紀から15世紀の神秘的ドイツ・オランダ信心書であり、神秘学派の生んだ美しい花であり、キリスト教的修徳書の逸巻であり、聖書についで多くの人に親しまれた本である。本書には、キリスト者の、世間との関わりに疲れてしまった時などは、本書の第3章などは、特に大きな慰めになるのでは。

確かに、ある点は(たとえば、「被造物とは一切関わるな」といった点)、今日の考え方からすると、ちょっと首をかしげたくなるが、しかし、「神との関わりのない人生、単なる被造物に依り頼む人生が、いかに空しいか」ということを一貫して語っている点は、信徒のキリスト者としての基本姿勢を記した書物として秀逸である。さらにキリスト者でない方にも、大いなる心の平安を与えてくれる本でもある。

バロバロ訳『キリストにならう』は、簡潔で飾り気のない正確な文体が特に賞せられ、中世特有の美しいラテン語の文体を余すところなく表現し、神への烈烈たるしかもつつしみ深い愛と経験が紙面ににじみ出ている。1953年に初版が発行され、実に25版を重ねてきたが、21世紀の改訂版はバルバロ師の力強い訳文に戻したものである。バルバロ師の名訳がここによみがえったことは喜びにたえない。

主任司祭 長澤 幸男

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