シャルル・ペギーを紹介します。日本では、ほとんど知られていないか、さもなくば、偏った人物評価しかされていないのが現状です。しかし、彼の詩は多くのフランス人に愛され、読まれています。前教皇ベネディクト16世が、一般謁見の際、希望についての言及された時のペギーについてこう言われました。

フランスの詩人シャルル・ペギーは、希望に関する美しい詩を残しました。彼は詩的な表現を用いて次のように記しました。人間の信仰、さらには人間の愛ですら、神をさほど驚かせません。神を驚きで満たし、感動させるのは人びとの希望です。「この貧しい子らは物事がどのように運ぶかを知っています。そして明日の朝にはもっとよくなると信じています」。この詩人が描く世界は、この世を旅してきた多くの人びと――よりよい未来を求める農民、貧しい労働者、移住者たち――の顔を思い起こさせます。彼らは多くの試練を抱え、困難な状況下で苦しんでいますが、断固として立ち向かいました。そして、自分の子どもたちはより公正で穏やかな生活を送れると信じ、自らを奮い立たせたのです。彼らはわが子のために闘いました。希望をもって闘ったのです。

いまだ、収束の兆しも見えない、コロナ禍に苦しむ私たちに一番必要な思いは希望でしょう。我が子の病気平癒のため、シャルトルの大聖堂への120キロの巡礼をした際、目の前に広がる、金色の麦畑を聖母への捧げた美しい詩を思い出します。

主任司祭 長澤幸男

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