高齢を隠さないでください

フランシスコ教皇様

教皇フランシスコは、最近、謁見など公の場に姿を現すとき、必ずと言ってよいほど、車椅子や杖で対応し、支えの手まで借りています。これは教皇が現在「変形性膝関節症」に悩まされているからです。しかしそれと同時に教皇フランシスコは、コンクラーベで教皇に選出されたのは、すでに76歳で現在は85歳になっています。立派な高齢者の年齢であります。それが体の負担にもなって様々なところにも出てきているのではないでしょうか。一般の人なら年金生活に入っていても不思議ではありません。それが世界中を外遊し、多くの人びとにメッセージをもたらし、休む暇がないほど毎日忙しく過ごしています。

このような教皇フランシスコの姿を見るとき、私は不安を感じるのではなく、むしろ勇気をもらいます。それは彼が自分の老いや弱さを隠さないからです。

6月1日のバチカンでの一般謁見の際に、教皇フランシスコは、「高齢を隠さないでください。高齢からくる弱さを隠すことはありません」という話をされました。これはきっと多くの高齢のカトリック信者にとって、励みになった言葉だと思います。

今年の夏は、猛暑と言われています。日本では、6月下旬にすでに梅雨が終わり真夏の暑さが各地で続いています。このような猛暑の時は、高齢者が熱中症になりやすいと言われています。先日も90歳を超える男性がエアコンも付けず、一人部屋で亡くなっていたというニュースがありました。昔はガマンが美徳だったようなところもありますが、先ほどの教皇フランシスコの言葉のように、自分が高齢者であり、弱さがあることを素直に認め、必要なときには、無理せずに人の手を借りることも大事ではないでしょうか。なぜなら、それによって高齢期の意味と価値を見いだして、意義ある人生を送ることができると思うからです。

主任司祭 西本 裕二


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