キリシタンたちが自分の命と人生をかけて「つなげて」きたもの

長崎の殉教者たち[部分](クスコ派画)

9月10日は、日本205福者殉教者を記念します。26聖人が長崎西坂で殉教した後も幕府はキリシタン弾圧の手を緩めることはありませんでした。そして1617年から1633年にかけて長崎、江戸、仙台など日本各地で信仰を証ししていた205人のキリシタンたちが殉教して列福されました。

日本の教会が多くの殉教者たちの血から生まれ、その上に建てられたと言われています。実際、日本の殉教者は20万人とも言われ、ローマに次いで殉教者の数が多い国です。つまり多くの殉教者たちの証しによって、日本の教会の土台が築かれたということでしょう。

ザビエルが日本の地に足を踏み入れてから3000人であったキリシタンの数は20年後には3万人以上であったと言われています。1563年には最初のキリシタン大名も現れ、「国教」に近い存在となり、徳川幕府がキリスト教の勢いを恐れて、禁教令を出した1614年には40万人と推定されています。キリシタンたちは迫害や拷問など苦しい思いをしながら200年間、信仰を守り続けました。それは多くの先達が「信仰」を“つなげて”欲しいと強く願ったからではないでしょうか。

今の私たちも、彼らの思いをしっかりと受け継いでいかかなければならないと思います。それはキリシタンたちが自分の命と人生をかけて“つなげて”きたものだからです。

現代、日本の信者の家庭では、親は子供に自分の信仰をしっかりと伝えているでしょうか。キリシタンたちのようにキリスト教にその価値や素晴らしさを見いだしていなければ伝えることは難しいと思います。

つまりキリシタンたちのように“つなげる思い”は、私たちひとり一人のキリスト教への「信仰」にかかっているということです。ですから、私たちは殉教者たちの生き方を考えながら、それぞれがキリスト教への信仰をより深めていかなければならないのではないでしょうか。

主任司祭 西本 裕二


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