今年は7月下旬から8月上旬にかけて暑さのピークを迎える見込みです。6月のウェザーニュースでは猛暑の予想を発表しています。実際、日本全国、毎日厳しい暑さが続いています。このような暑さが続くと、熱中症のリスクが高まります。毎年、熱中症が原因で救急搬送される方の多くは高齢者だそうです。熱中症対策の一つとしてエアコンの使用を推奨されていますが、様々な理由からエアコンをつけない高齢者がいるのも事実です。

高齢者がエアコンをつけたがらないのには、「暑さを感じづらくなっている」ことが理由の一つにあるそうです。そのため水分補給を十分にせず、危険な状態になる高齢者がいるということです。つまり自分で体が渇いているのに気づいていないということではないでしょうか。

人間は、体だけでなく、心も渇きます。しかし現代の大きな問題は、体の渇きに気づかない高齢者が多いように、心の渇きに気づかずに過ごしている人も多いことです。危険なのは、心の渇きに気づかないでいると罪の状態に陥り、重症化すると生きる希望や愛する気持ちなど、人として大事なものを失ってしまいます。
イエスは、井戸に水を汲みにきたサマリアの女性に対して、「水を飲ませてください」(ヨハネ4.7)と話しかけられ、彼女の素性を見抜いたとき、このサマリアの女性は、自分が愛に渇いていたことに気づきます。

人間、愛されていることを知ることが大事です。それも神から愛されていることを知らないでいるならば、完全に心の渇きを満たすことはできないでしょう。
「主よ、渇くことがないように、またここに汲みに来なくてもいいように、その水をください」(ヨハネ4.15)と言って、彼女はイエスが差し出す命の水を心から願いました。

私たちも心の渇きがあるからこそ、イエスを求めています。しかし自分の中に心の渇きがあることに気づかなくなってしまうと、イエスを求めていることすら忘れてしまうでしょう。ですから、私たちは常に心の渇きを感じていなければならないのです。

そして私たちもサマリアの女性のように、自分の渇きに気づいて「その水を飲ませて下さい」と言って、命の水である“永遠の救い”をイエスに願うことが大切ではないでしょうか。それによって、私たちは自分の心の中の渇きが満たされるだけでなく、他者の心の渇きにも気づくことができるのではないでしょうか。

主任司祭 西本 裕二

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