今週2月14日の〈灰の水曜日〉から教会は、「四旬節」に入ります。四旬節は、復活祭を準備する40日間(日曜日は喜びの日として数えない)です。この期間、キリスト信者は、節制と回心に励み、自分を見つめます。そのために祈り、節制、愛の行いを実行し、[大斎・小斎]の節制の務めを果たします。

ご存じのように「大斎」は、食事を減らすという犠牲です。いつも食べている食事の量を少なくすることで、一日1回通常通り食べて、2回は減らすというものです。18歳以上60歳未満の信者が守ることになっていますが、私もすでに対象ではありませんが、できる方は年齢問わず、無理しない程度に進んでやって下さい。「小斎」は肉を食べないという犠牲ですが、これは欧米などキリスト教文化圏の習慣に基づいたものですから、肉を食べないのはもちろんのこと、お酒やタバコなど嗜好品や好物を控えることなどをお勧めします。14歳以上の信者が守りますが、14歳以下の小学生も親の判断でゲームなど何か楽しみを少し我慢してみるのも良いことだと思います。大斎・小斎の節制は病人や妊婦に限り、免除されます。また「大斎」の節制は、仕事によっては、食事を減らすことで危険が伴う場合がありますので、そのような精神的あるいは肉体的重労働などによる妨げがある方は、別の日に実行して下さい。

このような節制は、何のために行うかを知ることが大切です。一つにはキリストの受難を黙想するためです。そしてもう一つには貧しく、苦しんでいる人の気持ちを共にするためです。
私たちは普段、十分に食べているので、戦争や災害あるいは貧しさのために苦しんでいる人たちの気持ちを共感することは難しいでしょう。そのため先ず私たち自身、「お腹が空いた」、「辛い」といった気持ちを感じる必要があります。私たちは普段、好きなことに取り組んでいるときには食事を抜いてもあまり辛いと感じません。ところが「食べてはいけない」と決められると、人間は弱さのために辛いと感じます。そしてそのような思いが苦しみのうちにある人たちの気持ちに少しでも近づくことができるのではないでしょうか。それで教会は、四旬節の節制を大切にし、信者の皆さんにお勧めしているのです。

今、ウクライナやパレスチナで多くの人々が戦争や紛争のために犠牲となり、体も心も傷つき、飢えや寒さのために苦しんでいます。また能登半島地震では被災された人々が生活の中で様々な困難を抱えています。今年の四旬節は、特にこのような人々を思い起こして、苦しみを共にするように致しましょう。

主任司祭 西本裕二

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