死者の月に入りました。死者のために祈る習慣は、初代教会からありましたが、西方教会でミサの奉献文に取り入れられるようになったのは、8世紀頃と言われています。カトリック教会の典礼の特徴の一つは、毎回ミサの中で死者を思い起こし、祈ることだと思います。それも司祭が唱えるミサの言葉に「復活の希望をもって眠りについた私たちの兄弟姉妹」と言って、〝亡くなった教会の仲間のために祈る″だけでなく、「あなたのいつくしみのうちに亡くなったすべての人を心に留め、あなたの光の中に受け入れてください」とありますように、〝亡くなったすべての人が神のいつくしみによって永遠の救いに与ること″を願って祈ります。
もちろんミサは、キリストの死と復活を記念するものですが、死者を思い起こし、祈るという箇所がミサにあるのは、カトリック教会がいかに死者への祈りを大切に考えているか、わかるものです。これは他の宗教にはない素晴らしい部分でもあると思います。
それはカトリック教会には「煉獄」という概念と「聖徒の交わり」という救いのつながり(連帯)といった考えがあるからです。つまり、まだ救われていない人が煉獄において、すでに救われて天国にいる人やこの世にいる私たちの祈りを求めています。そしてこの世にいる私たちもすでに天国にいる人や煉獄で救いを待つ人の祈りを必要としているということです。
ですから、私たちは死者のために祈ることによって、救いに向かって少しずつ清められていかなければなりません。人間は完全に清められなければ神の救いに与ることができないからです。つまり償いを残してはいけないということです。そのために死者への祈りは、私たちの救いの大きな助けになるでしょう。 11月、特に私たちは〝自分の救いを考えて″亡くなった家族、友人、知人のためにお墓参りをして、花を手向け、祈りを捧げるように致しましょう。
主任司祭 西本裕二