四旬節第4主日は、「レターレの主日(バラの主日)」と呼ばれています。典礼の総則などには書かれていないので、あまり知られていませんが、四旬節の折り返し地点のような意味があり、回心や節制が求められる四旬節において、少しやわらぎを与えているように思います。また昔、バラ色(ピンク)の祭服を着用していたときもあったそうですが、今は、緑、白、紫、赤の4色の祭服が中心ですから、バラ色の祭服がある小教区は日本ではほとんど見かけません。でもきっとバラ色を見ると、さらに復活祭に近づいている喜びの雰囲気を醸し出すのではないかと思います。
このバラ色の祭服は、カトリックのみならずプロテスタントや聖公会などにおいても牧師や司祭が着用して良いことになっているそうです。ただし着用は、待降節第3主日(ガウデーテの主日「喜びの主日」)と四旬節第4主日(レターレの主日「バラの主日」)の年2回しか着用する機会はありません。ちなみにラテン語のガウデーテは日本語に訳すと「喜びなさい」で、レターレは「歓喜しなさい」ということで、共に「喜べ」という意味合いがあります。
カトリックでは第二バチカン公会議によって、典礼が刷新されましたが、その影響で他の宗派も同様に典礼が刷新されました。ところが近年になって、少し削りすぎたのではないかという流れが起こり、それでバラ色の祭服の着用が聖公会から回復したものです。カトリックとしては、ローマにおいては、歴代教皇は毎年着用していますが、さらに教皇フランシスコが着用したことで、他のプロテスタントに影響を与え、キリスト教として回復の兆しが見られると言われています。
このような何気ない慣習は、キリスト教の典礼にメリハリを与えるだけでなく、エキュメニカルなつながりをより深めるチャンスでもあると思います。聖書においては、エキュメニカルな観点から共同訳聖書が発行され、また共に祈る集いなども各地域で開催されるなど、近年、共に協力し、一致に向かって行こうという気運が高まってきているように思います
私たちも教皇フランシスコのように、キリスト教の典礼が少しでもエキュメニカルなものとして適用されることを願い、教会一致に向けて協力致しましょう。
参照「ウェブサイト風琴抄(レターレの主日)」
主任司祭 西本裕二