死者の霊魂

煉獄の霊魂のために祈る

10月「ロザリオの月」が終わりました。一か月間、ロザリオの祈りを熱心に唱えた方もいるでしょう。でも10月でロザリオの祈りが終わったわけではありません。むしろ11月「死者の月」こそ、ロザリオの祈りが必要とされるときではないでしょうか。

聖ドミニコの祈りで、煉獄から救われた一人の罪人の女性が現れて、こう言いました。「煉獄の霊魂を慰めるためには、ロザリオを唱えることが最も優れた方法である」と告げ、「これらの霊魂は、天国に入ったならば、この力ある祈りを自分たちのために唱えてくれた全ての人々のために祈ることを忘れません」と言って、喜び踊りながら天国に入るのを聖ドミニコは見たという逸話があります。
この話は、ロザリオの祈りが煉獄の霊魂を慰め、救われるために大きな力となることを示していると思います。

カトリック教会の煉獄の概念(イメージ)が作られたのは、天国と地獄と同様、ダンテの『神曲』からきていると言われています。それを見ますと、煉獄は、炎に象徴されますが、その教義は、単なる苦しみや試練といったものではなく、神の愛と憐れみを示すものであり、後の世でも、人間が赦される可能性は否定できないものと言えるでしょう。
そして煉獄における救済は、聖母マリアや聖人たちの執り成しによるとされています。つまり、神は人間が地獄に行くことを望んでいないということです。ですからカトリック教会は、誰一人として滅びることがないように、毎回ミサの中でも取り次ぎを願って、死者のために祈り、神の憐れみを切に求めるのです。
煉獄の霊魂は、この世にいる私たちの祈りを常に求めています。だから死者のために祈らなければなりません。そして私たちが煉獄の霊魂のために祈ることは、教会が教える救いの連帯と言える「聖徒の交わり」を考えますと、自分の救いにとっても大事なものになってくるのではないかと思います。

死者の月、私たちは亡くなった方々を思い起こすと共に、煉獄で救いを待つ多くの霊魂がいることも忘れず、彼らのためにロザリオの祈りを続けてまいりましょう。

主任司祭 西本 裕二