先日、BBCが報じるニュースに気になることが書かれていました。イタリアのセリエAのサッスーロに所属する36歳のフランチェスコ・マニャネッリと、パルマに所属する31歳のマッテオ・スコッツァレッラが、神を冒涜したことにより、1試合の出場停止処分を受けたというのです。イタリアでは、神の名を冒涜することは厳しく禁じられており、2010年からイタリアサッカー連盟が処分を下してきており、昨年2018年もウディネーゼに所属する選手が同様の行為で処分を受けました。
ローマのテルミニ駅の裏手にサレジオ会のサクロ・クオーレ教会があります。そこには昔は中高等学校があったところで、広い中庭がありました。現在は、ローマ郊外にあった総本部が移ってきて、状況がすっかり変わってしまったようです。四半世紀前までは、オラトリオが盛んで、子供たちがよく遊びにきていました。中庭には大きく注意書きがしてありました。最初の注意は、1. Prohibito dire Bestemmia! (冒涜を言ってはいけません)でした。日本なら〈ここでのボール遊びを禁じます〉が最初に来るんだろうな、と思ったものです。イタリアにいた時、子供たちの告解を頼まれたことがあるのですが、たしかにこの bestemmia とか bestemmiare という単語がよく出てきたものです。日本の告解で、冒涜という言葉を聴くことはほとんどないので、宗教的文化的背景の大きな違いを感じたものです。頭にきた時や怒ったとき、日本でしたら、畜生!とか、馬鹿野郎!など動物が出て来るのですが、イタリアだと、神様やキリスト様や聖母を侮辱する言葉が出て来るのです。新カトリック事典の説明によると、“冒涜とは言葉ないし身体的振る舞いで、神ならびに神聖なものを嘲笑し、罵り侮辱すること。これによって、神の栄誉と聖性に意識的かつ故意に侮辱や軽蔑を加えることになる。これは宗教の本質に関わる問題として古来から教会で敬神徳に反する罪の中に数えられている。冒涜にも種々の内容があり、言葉によるもの、聖像に対して不遜な態度をとること、聖なる物を汚したりすることなどが挙げられる”
厳しく細かい食物規定があるユダヤ教、イスラム教と違って、キリスト様の教えは何でも口に入れてよい。大事なことは、あなたの口からどんな言葉が出るのかなのだ。嘘、偽り、軽蔑ではなく、賛美と称賛、感謝と祝福の言葉が口から出ることこそ肝要なのです。フランシスコ教皇はよくおっしゃいます。「うわさ話、苦情、陰口、これは、その人を〈毒麦をまく人〉にします」
主任司祭 松尾 貢