スポーツに関心のある方でしたら、日本人初のNBA(米プロバスケットボールリーグ)ドラフト一巡目指名のニュースに興奮なさった方もいらっしゃることでしょう。野球と違って、NBAのドラフトは2巡目までの狭き門で、指名は全30チームで計60人。一巡目の全体9位でウイザーズから指名されたということは実力の評価も年俸も桁違いの夢を実現したことになります。

富山県出身の八村塁選手。アフリカ西部の国ベナン人の父と日本人の母を持つ彼は富山県の小学校時代は野球少年、中学校からバスケットを始め、宮城の明成高校から米国西岸ワシントン州にあるゴンザガ大学に進学しました。根っからの練習熱心な彼はメキメキと頭角をあらわし、米国大学バスケットボールの年間最優秀選手賞の最終候補に名前が上がるほど評価されていました。

ところで、八村選手が属していたゴンザガ大学(Gonzaga University)はイエズス会系大学で、上智大学の姉妹校です。ゴンザガという名前はイエズス会の聖人であるアロイジオ・ゴンザガから採られています。この聖人は1568年にイタリアのマントバ近郊の公爵家の家庭に生まれました。公爵としての相続権を弟に譲り、ローマでイエズス会に入会します。神学生として病院でペスト患者の看護中に病に倒れ、1591年に23歳の若さで帰天しました。教会では若者の保護者として知られています。NBAのドラフトがあった6月21日は奇しくもアロイジオ・ゴンザガの記念日でした。偶然にしてはなかなか乙な計らいといえます。

米国におけるイエズス会系の大学は現在28校です。有名なのはワシントンDCにあるジョージタウン大学でクリントン元大統領の母校、河野外務大臣が留学した大学です。また創立者イグナチオ・ロヨラの名を冠したLoyola Universityは3校、メリーランド、シカゴ、ニューオリンズにあり、ロサンゼルスには女子大と合併したLoyola Marymount大学があります。また、米国最初の司教ジョン・キャロルJohn Carroll(1735~1815)の名前を冠した大学もオハイオ州にあります。彼はイエズス会員でした。同じオハイオ州にはザビエルXavier大学も存在します。いずれの大学も上智同様「Men and Women for Others, with Othersというモットーを共有しています。米国におけるイエズス会のプレゼンスの大きさを感じさせてくれます。

主任司祭 松尾 貢

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