先日、NHKのEテレ「こころの時代~宗教・人生」で、ルーテル教団宣教師・音楽サナトロジストのキャロル・サックさんの「祈りの竪琴」という番組がありました。
キャロル・サックさんは、日本に暮らして35年余り。52歳の時、死に直面する人をハープや歌声を用いて看取る「音楽サナトロジスト」の資格を取得。以後、その学びを発展させ、ホスピスや病院、高齢者施設、刑務所などで、苦しみや困難の中にある人に、音楽による祈りを届ける活動を続けてきました。彼女によれば、一人ひとりの呼吸に合わせて奏でる音楽は“あなたはそのままで価値のある大切な存在です”と伝える目的を持っていますし、かつ祈りの歌は大きな力をもっていることを実感なさっているという内容でした。
キャロル・サックさんによると、祈りの竪琴(リラ・プレカリア)の方法論は、音楽死生学の働きと文脈を受け継いでいますが、<詩編の霊性>を手引きとしているところに独自性があるといいます。スピリツァルに重点を置き、祈りの要素を多く取り入れているところから、彼女は「ハープと歌による生きた祈り」と呼んでいます。
祈りの竪琴は死に逝く人のみに焦点を当てているわけではありません。あらゆる年齢や状況の人びと、誰に対しても音楽を通して祈りが必要な人へ働きかけます。
例えば、鬱状態の学生たちや一般病棟の患者たちです。しかしながら、実際に頼まれる患者さんの大多数は、ホスピスや高齢者施設にいる方たちであるのも現実です。
サックさんは、ホスピスの病室に入って、患者さんのベッドの傍で小型のアイリッシュハープを奏で、歌う時、主に3つのジャンルから選ぶそうです。
- テゼTaizeの歌。シンプルなメロディーを何度も繰り返す歌です。
“Jesus,remember me when you come into your kingdom”等。 - グレゴリオ聖歌。特にキリエ エレイソン(主よあわれみたまえ)。そして、アニュス・デイ(神の小羊)は効果的だそうです。
- ララバイ(Lullaby)。その中でもケルトの子守歌が秀逸とのこと。
ハープを奏で、歌う時、祈りの歌の力を感じるそうです。
今日のチャリティーコンサートが祈りの歌の力を感じる契機となりますように。
主任司祭 松尾 貢