7月2日の江戸巡礼。上野毛教会の初対面のご夫妻も参加なさり、27名で1万8千歩近い距離を歩きました。茗荷谷のキリシタン屋敷跡、伝通院、浅草鳥越殉教地、ペトロ岐部神父が殉教した小伝馬牢跡、札の辻殉教地、高輪教会とまわりました。

現地解散後の分かち合いの際、初対面のご夫妻に「いつ洗礼をお受けになったのですか」と質問しました。ご主人は、幼稚園がカトリックでクリスマス祭のときヨセフ役をしたことがずっと心の中にあったそうです。その後、クリスチャンの奥さんと結婚し、大学生の長女がネメシェギ師の薫陶を受けた経緯もあり、数年前に受洗した、というお話でした。奥様は小さい時からプロテスタント教会に通い、16歳のとき受洗。4年前にカトリック教会に転会したということでした。転会のきっかけは娘さんと同じく、ネメシェギ師の影響が大きい、ということで、次のようなエピソードを話してくれました。

“ネメシェギ師の講演会に行ったとき、講演後サインをしていただこうと、師の著書を持って列に並びました。私の前に統合失調症と思われる男性がいて、持っていたマンガ本を数冊差し出して、サインしてください、といったのです。ネメシェギ師はその方の顔を見上げて、「はい、いいですよ」とマンガ本にペトロ・ネメシェギとサインなさいました。これは私とってインパクトのある出来事でした”

その話を伺いながら、師の講義や口頭試験の際のお姿が走馬灯のように思い出されました。その一つをご紹介しましょう。

「ゆるしの秘跡の際、最後に司祭が罪をゆるす祈りを唱えます。その最後は『神が教会の奉仕の務めを通して、あなたにゆるしと平和を与えてくださいますように』となっています。この“奉仕の務め”と訳されている箇所は、原文はministeriumです。通常は“役務”と訳されることが多いのですが、司教団典礼秘書局が“奉仕の務め”と訳しました」とネメシェギ師が嬉しそうに話してくれました。“奉仕の務め”の方がもっとイエス様の心,第2バチカン公会議の精神に沿っているというのが、その理由でした。来週、奉仕の務めとして堅信式のためにいらっしゃる梅村司教様を使徒の後継者としてお迎えいたしましょう。

主任司祭 松尾 貢
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