フランシスコ教皇は、米国訪問中に行った講話の中で、米国の未来の構築のために、時には命の犠牲をも払いながら、大きな仕事を成し遂げた人々がいたと指摘し、それらの人々の代表として4人の名を挙げられました。

  1.  エイブラハム・リンカーン大統領
  2.  マーティン・ルーサー・キング牧師
  3.  ドロシー・デイ
  4.  トマス・マートンです。

リンカーン大統領とキング牧師はあまりにも有名で説明するまでもありませんが、あとの二人はどんな人なのでしょうか。

ドロシー・デイは1897年ニューヨーク生身の米国の女性社会運動家、ジャーナリストです。30歳の時カトリックに改宗。カトリック労働運動者運動を組織し、貧者やホームレスのために無数の救護院やコミュニティーを創設。公民権運動や反戦運動、核の脅威など20世紀の諸問題に対して、積極的に執筆活動、社会活動を行い、徹底的な平和主義と神の国への忠誠を説き、「米国のマザー・テレサ」と称されました。

トマス・マートン(1915~68)は作家でヒップスターでしたが、やがてカトリックに改宗し、ケンタッキー州にある厳律シトー会(通称トラピスト)の司祭となります。「祈りそして働け」というモットーのもと、観想生活をおくりますが、院長は彼に汗を流しての労働の代わりに、文筆活動を行うように促します。そうやって刊行されたのが『七重の山』で、多くの人に影響を与えました。ヨハネ23世教皇もヘンリ・ナウエンも彼の姿の中に魅力的な司祭像を見て大きな感化を受けたのでした。

明日、中野島のカリタス学園で横浜教区一粒会大会が開かれます。1300名の方が参加する大きなイベントです。司祭召命を促し、司祭の堅忍のために祈り、犠牲を払うこの運動は日本の16教区の中で横浜教区が一番熱心だと感じています。現在の日本カトリック神学院在籍者の中で横浜教区が8名と最多であることもそのことを表していると思います。しかし、2016年度の日本カトリック神学院入学予定者がわずか二人という現状はあまりにも寂しすぎます。16教区なのにわずか二人なのです。多くの祈りと関心が求められています。

主任司祭 松尾 貢
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