先日、フランシスコ教皇と中国の習近平国家主席が同時期に米国を訪問しました。日本の新聞では習主席関連記事一色でしたが、外国のメディアは違いました。教皇は、特に米国の底辺を支えるメキシコ系などヒスパニックの人達からの圧倒的な歓迎を受けました。CNNをはじめ米国のメディアは国賓訪米した習主席よりもフランシスコ教皇の言動を詳細に報道、習主席の存在はかすんでみえたそうです。もし、習主席が教皇との会談を希望すれば、歴史的な出来事になりえたはずでした。
さて、日曜日と重なったために、主日が優先されていますが、今日10月4日はアシジの聖フランシスコの記念日にあたります。現教皇がコンクラーベで初のイエズス会士として教皇に選出され、「フランシスコ」と名乗られたとき、多人々は、フランシスコ・ザビエルのことかと思いましたが、実はアシジの聖フランシスコでした。何故、イエズス会の教皇がフランシスコ会の創立者の名前を選んだのでしょうか。実はそこに、かつてない新教皇の斬新さ、身をもっての改革、包容力、庶民性を見てとれることが、その後の教皇様の言動から明らかになってきました。
さて、今年6月18日、教皇様は「ラウダート・シ(主に賛美)」という回勅を発表されました。まだ邦訳出版されていませんが、教皇はこの回勅を通して、地球はわれわれの家であるとして、地球があげている叫びに耳を傾け、皆の共通の家を保全し、責任をもってその美しさを守るために「方向性を変えていく」よう、「環境的回心」を呼び掛けられました。回勅の表題である「ラウダート・シLaudato si」はフランシスコの『太陽の賛歌』の中の言葉「ラウダート・シ、ミ・シニョーレ(私の主よ、あなたはたたえられますように)」から取られています。フランシスコはこの賛歌の中で、太陽や月、星、風、水、太陽など、神がつくられた全てのものを通して神を賛美しています。
回勅は、「創造主であり父である神」を信じるすべての人々と、キリスト教徒に向けた二つの祈りで締めくくられています。環境とエコロジーの聖人といわれるアシジのフランシスコの名前を持つ教皇の真骨頂を表す回勅の邦訳出版が待たれます。