2002年頃だった思います。オリエンス宗教研究所刊行の『福音宣教』主催で、カトリックとプロテスタントの月刊誌の編集長が集り、座談会形式の取材を受けたことがありました。そのとき、女子パウロ会の月刊誌『あけぼの』編集長の緒方真理子シスターも同席なさっており、各誌の編集の工夫や苦労話、部数減少など各誌とも共通する悩みを分かち合いました。特に『あけぼの』誌の場合、編集長を1989年から10数年なさっているのを伺い、驚いたことを今でも良く覚えています。なぜなら、毎月の特集企画に頭を悩ませ、精神的に追われるような日々をおくっていた私にとって、この仕事を10年以上続けておられるシスターは大変な心労だろうな、とそのご苦労を察したからでした。

それから10数年後、この5月の『あけぼの感謝号』でもって休刊となり、60年の『あけぼの』誌の歴史がひとまず幕を閉じることになりました。最終号で、シスター緒方編集長は「今の日本社会は、情報は努力しないと大事なことが伝わってこない時代になりつつあります。これまで皆様とともに考えてきたさまざまなことを、自分の場で深めて行く時がきました。感謝のうちに、いのちをはぐくみ平和への道を、これからもご一緒に歩んで参りたいと思います」と結んでおられます。26年というとてつもなく長い期間、編集長を務められたシスターに「本当に、本当にごくろうさまでした」と申し上げたいと思います。

思えば、イエズス会の赤波江春海師が長く編集長を務められ、アカデミックな香りが高かった『世紀』、大阪教区発行明治24年創刊という古い歴史を誇っていた『聲』、イエズス会霊性が裏打ちされていた『聖心の使徒』、そして今回、現代の人間の問題、社会や家庭の問題を福音の光でみていくという確かな視点を持っていた女子パウロ会の『あけぼの』と、魅力ある月刊誌が休刊あるいは廃刊となっていくのは寂しいかぎりです。後継者問題や出版不況の中、奮戦苦闘しているカトリック月刊誌、『福音宣教』、『家庭の友』、『聖母の騎士』、『カトリック生活』のどれかを購読し、応援していただけたらと思います。例えば、鷺沼教会でも、個人としてだけでなく、何名かで「カトリック新聞」を定期購読し回し読みをなさっていますが、とてもいい方法だと思います。月刊誌でもなさってみてはいかがでしょうか?

主任司祭 松尾 貢
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