先日のモンゴル宣教女・小島華子シスターは挨拶の中で、自分の宣教師召命の原点は9歳のときにTVで見た、アフリカの子供たちの姿だったと話された。

私も、現在調布で修練長をしているT師が志願生のとき、面談で次のような事を聞いたことがある。彼の家では、金曜日は「めざしの日」。夕食はごはんと味噌汁とめざしだけのメニュー。ご飯のお代わりは自由だが、おかずはめざしだけ。両親も子供たちもそのメニューで夕食をいただく、浮いたおかず代を、アフリカの子供たちの募金に回していたという。

いよいよ2月22日は灰の水曜日。四旬節が始まる。四旬節には3つの特色がある。

第一に、四旬節は復活祭を準備するための期間である。人間の営みの中で“準備”とは非常に大切な行為といえる。準備をよくすることによって、自分が目指す目標にいっそう近づくことができるからだ。四旬節は、6週間という、典礼暦の中でも最も長い準備の期間をもっている。それだけ復活祭が大切な祝祭であることを示している。

第二に、四旬節は、洗礼志願者たちにとって特別な期間である。洗礼の恵みが受洗者においてより豊かに実るためには、(1) 一定期間の中で、(2) 共同体とともに、(3) 典礼暦に沿ったカテキズムが行なわれる必要があると記している。また、受洗日を復活徹夜ミサに定めることによって、すべての準備が復活祭に向けられているということを示している。

第三に、四旬節は、信者たちが、すでに受けた洗礼の恵みを新たにする期間である。信者は償いを通して回心を深める。1983年に発布された新しい教会法によると、「四旬節における小斎と大斎は、灰の水曜日と受難の金曜日に遵守する」ことを定めている。

教会の四旬節における様々な準備は、イエスが自分の命を他人のために捧げたその愛に倣うために設けられている。この四旬節、「めざしの日」にならって、自分固有のまた家族特有の犠牲をお捧げしたいものだ。

主任司祭 松尾 貢
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