酷暑の続く8月下旬に素晴らしい番組が放送されていました。米国でMFICという金融機関を経営する栃迫篤昌さんを取り上げたNHKの番組でした。

「金融は世の中の血液。しかしその恩典に浴しているのは世界の4分の1の人間にすぎない。4分の3の貧しい人たちのための金融を目指したい!」。メキシコなど中南米の国々で旧東京銀行員として猛烈に働きながら、栃迫さんは銀行が相手にするのは富裕層や国の政府機関、どうして貧困にあえぐ人を助ける金融がないのか、と疑問に思い続けます。47歳でワシントン事務所長になると大学院の夜間コースに通って経営学修士号(MBA)を取得、国際会議に参加して人脈を築きます。

50歳で会社をやめて、起業。中南米からの出稼ぎ労働者が祖国に送る「送金システム」を構築し、送金のため銀行口座をもたないがゆえに高額の手数料を取られていた彼らのために、同業者の5分の1から10分の1の手数料で送金するサービス、担保がなくても送金の実績で融資するサービスを展開しました。

エルサルバドルの領事は栃迫さんについて、次のように言っています。 「アツマサは同胞たちの人生を変えてくれました」「なぜ、見知らぬ外国人を助けてくれるのか、そう尋ねると、彼はメキシコのスープの話をしてくれます。人間の善を信じているのです」

同志社卒の栃迫さんがキリスト者なのかどうかは知りません。しかし、“匿名のキリスト者”であることには間違いありませんし、こんな日本人が米国にいるなんてなんと誇らしいことか、と感動した番組でした。

鷺沼教会の持つ素晴らしい特徴の一つは、ミサ前後の年配者や身体の不自由な方のための駅までの送迎システム、毎週火曜日の配食サービス、高齢者や病者への慰問やご聖体奉仕など福祉の活動が活発であること、さらに長い期間継続していることです。これも歴代の主任司祭方や教会のメンバーの福音的心配りと関心の強さの表れなのだと思います。感謝のうちに、この素晴らしい宝を保ち育てていきたいものです。

主任司祭 松尾 貢
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