「学校に勤めるサレジオ会員が少ないのに、これから幼稚園もやるのですか」と1967年に鷺沼にあったサレジオ高校を訪れ、川崎サレジオ幼稚園の建設工事をご覧になりながら、サレジオ会総長リッチェリ神父様が、驚きを隠さずにおっしゃいました。当時、サレジオ高校の若い教員だった私は、自分の耳でその言葉を聞いたのでした。
その後しだいに、鷺沼には、カトリック教会、サレジオ志願院、サレジオ修道院、サレジアン・シスター修道院、ユース・センターや中学校の校舎もでき、幼稚園もますます大きく立派なものとなりました。そして1995年、学校や、志願院、修道院などは横浜に移転し、鷺沼教会とサレジオ学院幼稚園だけが、この地にそのまま残ることとなりました。
サレジオ学院幼稚園の建学の精神は、次のようなものです。
――カトリック精神を基盤とした聖ヨハネ・ボスコの予防教育法に従い、健全な宗教心を培い、善良円満なる性情を養うと共に、その心身の発達を助長することを目的とする。すべてのことに先んじて、神との交わりを養うようにする。
確かな宗教的精神に基づいた建学の精神ですね。この精神を職員全員で分かち、カトリック信者でない先生方も、毎日、祈りでもって朝礼に臨み、熱心に子どもたちにも祈りを教えたり、信仰心や、神さまに見守っていただく良心を育てています。
サレジオ学院幼稚園は、宮前区の11幼稚園の中の一番小さな幼稚園ですが、繁盛や大規模を目指すのではなく、子ども、父母、教員の三者が力を合わせ、ひとつとなり、一人ひとりの子どもが人と神に開かれ、本物の幸せへの道を歩みだせるよう、最善を尽くすことを目的としています。
幼稚園の子どもたちは、クラスごと、学年ごとに、教会へお祈りに行く機会も多くありますが、その姿はなんとも言えず可愛いらしいものです。また他方、幼稚園のホールと校庭は、日曜学校の活動の場となっており、駐車場は、土日の信者さんたちの駐車場として利用したり致しますので、幼稚園と教会は切っても切れない関係にあります。両者は、建物も法人も違うとは言え、幼稚園と教会は同じ教えの礎の上、そして神さまの屋根の下で活動する家族のようなものと言えるでしょう。
サレジオ学院幼稚園は、園児や保護者に神の教えの種を蒔く場であり、福音宣教の場ともなっています。教会の信者さんがこれからも、ずっと、幼稚園をかわいがってくれるように祈っています。