聖母月が終わろうとしています。教会は聖母月の最終日に「聖母の訪問」の祝日を祝います。以前は7月にお祝いしていたのですが、第2バチカン公会議後の典礼刷新で5月聖母月の最終日に移されました。

その理由は、ルカ福音書1・36の「エリザベトはもう6カ月になっている」という天使ガブリエルへの言葉と、ルカ福音書1・56の「マリアは3カ月ほどエリザベトのところに滞在した」という聖書の記述にしたがって、3月25日の「神のお告げ」と6月24日の「洗礼者聖ヨハネの誕生」の祝日の間におかれたというわけです。

聖母のご訪問の福音書箇所(ルカ1・39~56)は味わい深い箇所です。天使ガブリエルから神さまのお告げを受けたマリアさまはご自分でもやらなければならないことが山積しているにもかかわらず、高齢のいとこエリザベトを助けに赴くのです。それもナザレトからアイン・カレムまで山道3日間はかかる旅程です。フランシスコ会訳では“マリアは旅立ち、急いで山地に向かい、ユダのある町に入った”とあります。エリザベトからしつこく頼まれて、しょうがないなと、もったいぶって助けにいったのではありません。自分の方から、相手を思いやる気持ちで、急いで旅立つ若いマリアさまの温かく、慈愛深い、隣人への配慮に満ちた姿勢が伺える箇所です。

今日は多くの方が「浜松司牧センター」の落成式に参列するために早朝から鷺沼を出発しました。浜松での多国籍信徒に対する司牧的配慮から始められた活動は、まさにルカが伝える「聖母の訪問」のマリアさまの姿に倣うものです。山野内アンヘル神父様や浜松教会の皆さんと喜びをともにしながら、今後の司牧センターでの活動の上に、聖母の取次ぎを祈ってまいりましょう。

主任司祭 松尾 貢
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