四旬節(ラQuadragesima・第40の意)(英Lent・日が長くなる季節“春”)は“灰の水曜日”に始まる復活祭前の40日間を指す。「受難節・大斎節・復活前節」などとも呼ばれています。復活祭に洗礼を受ける人々の最後の準備の期間であり、キリストがその受難と死によって勝ち取った恩恵を、より一層豊かに受けることができるように、信徒の心を回心と償いや祈りをもって準備させる期間でもあります。

もともと聖書には“40”の象徴的な意味があったが(創7:12ノアの洪水で雨が40日40夜降り続く・出24:18シナイ山でモーゼ40日40夜神から教示)、ニケア公会議(325年)の頃には“40日”が定着し、イエス様が公式に宣教活動を始める前、40日40夜荒野における断食と祈りで準備された出来事(マタイ4:1-11)と関連付けられました。いろいろな変遷を経て、1570年の「ローマミサ典礼書」で、断食する必要のない日曜日を除いて、四旬節第1日曜日の前の「水曜日」から御復活までの40日間を四旬節としました。

四旬節の最初の日は「灰の水曜日」(ラFeria quarta cinerum・英Ash Wednesday)と言われます。信徒は前年の「受難の主日・枝の主日」に祝福された枝を燃やしてできた「灰」を額や頭に受けて、回心の印とする「灰の式」が行われることから、この名前があります。

「灰」は、多くの宗教でいろいろなシンボルとされていますが、聖書においては、清め(民19:17)や回心(マタイ11:21)のシンボルとして用いられていました。回心や嘆きのしるしとして灰を個人的にかぶる習慣から、罪を犯した者が回心の印として灰をかけられる式が始まりました。11世紀末から、灰の式に参加する全信徒が灰を受けるようになりました。

現行の典礼では、ミサの福音朗読・説教後に「灰の式」は行われ、前年の枝の主日に祝福された枝を燃やしてできた灰に、聖水をかけて祝福します。そして信徒の額か頭に、「回心して福音を信じなさい」あるいは「あなたはチリであり、チリに帰って行くのです」と司式司祭は灰をかけながら言うことで行われます。

主任司祭 田中次生
LINEで送る