1月24日は聖フランシスコ・サレジオの祝日でした。ご承知のようにサレジオ会の名前の由来になった聖人です。1622年に55歳で亡くなったフランス・シャンブレーの司教でした。彼の時代は1517年以降のルターなどによる「宗教改革」の渦中にありました。宗教的にも、政治的にも対立抗争が続く中で、人心は荒れていました。1602年35歳で司教に選出された彼は、自分の教区の隅々まで教会を巡り、人々に接しました。とくに貧しい人たちに対しては食べ物を配慮し、子供たちにも時間を惜しまずに相手をしました。あるときは町で寒さに震えているホームレスに出会い、サイフが空っぽになっていたので、自分が着ているマントを脱いであげました。そのため自分自身が風邪をひいて寝込んでしまったこともありました。そんなフランシスコの心に接して、教会を離れた沢山の人々が、もう一度司教の教会に戻ってきたのでした。
フランシスコの特徴は、「優しさ」と「人間とその価値に対する楽観主義」だと言われています。優しさについてですが、「ひと樽の“酢”よりも、ひとサジの“蜂蜜”の方がよく人々の心を捉えることができる」との彼の有名な言葉があります。青少年の教育に一生を捧げたいと思っていたドン・ボスコの心に、この言葉が強く響きました。
1841年6月5日、ドン・ボスコは26歳で司祭に叙階されました。その時立てた決心です。
- 不必要な外出はしない。
- 時間の浪費をしない。
- 「魂の救い」のためなら、常に苦行し、謙る(へりくだる)。
- 聖フランシスコ・サレジオの愛徳と柔和とを模範とする。
- 健康を損なわない限り、与えられた食べ物に不平を言わない。
- ブドウ酒に水を混ぜ、必要な時にだけ適度に飲む。
- 仕事は救霊の敵に対する武器。夜は5時間以上寝ない。昼寝もしない。
ドン・ボスコは生涯にわたってこの決心を守りました。
主任司祭 田中次生