今年も8月6日から15日までの10日間、日本の教会は平和旬間を迎えます。これは広島や長崎の事実を思い起こすのに適した期間で、戦争の悲惨さを考える時です。
私たちは毎年この平和旬間を過ごしていますが、もしかしたら、何気なく迎え、気づかないうちに終わっているところがあるのではないでしょうか。それは戦争や争い事が自分にとって身近な出来事として受け止めていないところがあるからです。
けれども今年は、ロシアによるウクライナへの武力侵攻によって、現在でも戦争が続いており、街が破壊され、略奪が行われ、そして多くの犠牲者が出ています。このような出来事がメディアによって報道されることによって、世界に衝撃を与え、またこの戦争の影響もあって世界中の物価が高騰するなど経済や社会情勢が悪化し、私たちも厳しい生活の中で我慢を余儀なくされ、その結果、多くの日本人は戦争を以前より身近な問題として受け止めてきているのではないでしょうか。
2022年4月17日に全世界に向けての教皇フランシスコの復活祭のメッセージの言葉が心に響きます。「どうか、戦争に慣れてしまわないで下さい。平和を希求することに積極的に関わりましょう」というものでしたが、これはまさに戦争を他人事にように受け止めている私たちに向けてのメッセージであるかように思えます。
気をつけなければ、終わりが見えないウクライナ情勢によって、私たちは戦争の報道を見聞きしても“慣れてしまう危険性”があります。しかし教会は、目の前で苦しんでいる人びとのためのものですので、イエスのように、今、苦しんでいる人たちに目を向け、自分たちのできることで支援していかなければならないでしょう。
そのためにも私たち信者は、さらに長く続くかもしれない戦争だとしても決して慣れてしまわないで、相手の痛みや苦しみを共にする教会の姿を、身をもって示していかなければならないのではないでしょうか。
主任司祭 西本 裕二