バザー

教会への興味から関心へ繋げる

私が司祭になって一番印象に残っている出来事は、前に働いていた教会で放火犯を捕まえたことです。それはいつもより早く教会を閉めようと思い、正面玄関から入って行きますと、聖堂の前方に火が燃えているのが見えたんです。それもかなり炎が上がって、周りに延焼するかのような勢いでした。私は驚いて、聖堂前まで走って行きました。するとそこに中学生の男子生徒が二人いて、聖母マリアに捧げるためのロウソクの火に、聖堂後ろに置いていたチラシ類を投げ込んでいたのです。さらに祭壇ロウソクの中にあった油をかけていたので簡単に消せないと思いました。私はそれを見て、二人の首根っこをつかんで「逃げるな」と言って威喝すると、観念した様子で、私はそれから消防と警察に通報し、聖堂に置いてあった消火器で何とか火を消し止めました。

二人の中学生は、警察署に連れて行かれ、事情聴取を受けました。聖堂は大型献金箱が半焼し、その修理と消火器で汚れた聖堂内を落とすための業者による清掃などかなりの被害を受けました。幸いだったのは壁にまで延焼していなかったことです。しかし翌日の丸1日聖堂を閉じる羽目になりました。
警察から「加害者の中学生をどうしますか」と聞かれましたので、私は「今回は特別に許します」と伝え、もちろん親と子供には教会に来てもらい、被害を受けたものをすべて弁償してもらいました。

この事件の後、中学校の教頭先生や担任の先生など何人かの先生方が交代で謝罪に訪れましたが、話を聞くと二人の中学生は一見して大人しい生徒に見えましたが、学校ではかなり悪さをして困っていたようです。
この出来事がきっかけで数日後、面白い現象が起こりました。それはこの学校の生徒たちが代わる代わる教会を見に来たからです。そこで数人の生徒たちが話している声にひそかに耳を傾けると、「あいつらを許してくれた優しい神父がいる教会だ」と言っていたのです。つまり、学校で悪さをしていた二人の中学生が教会で火事を起こして許してもらったということが他の生徒たちにも伝わっていたようでした。しかし、このような生徒たちは、暫くすると次第に来なくなりました。つまり興味本位で教会を見に来たということです。

また話は変わりますが、この教会では以前、人気テレビドラマの撮影で教会を貸して、しばらく見学者が絶えなかったと聞いています。このような人たちも興味本位で教会を見に来ていたのでしょう。
しかし、教会は興味ではなく、関心を持って来てもらいたいものです。興味だけですと、教会そのものではなく、そこで起こった出来事にしか気持ちが向いていないからです。関心を持って来てもらいたいのは、そこで起こった出来事を通して、教会全体に気持ちを向けて欲しからです。ですから、そのような人は、いつか求道者として教会につながる可能性が大いにあると思います。

都筑教会では、10月バザー、12月チャリティーコンサートといつくかの大きな行事が予定されています。そのような行事を通して、初めて訪れる方々が単にイベントとしての興味に留まらず、教会そのものに関心を持つようになって頂けたら幸いではないでしょうか。

                           主任司祭 西本裕二

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