大谷翔平選手が所属するロザンゼルス・ドジャースがワールドシリーズを制覇して、日本のテレビ局各社では、特集を組むなど大きく取り上げていました。
あるテレビ局では、大谷選手の軌跡として、岩手県の花巻東高校時代に彼が書いた「目標達成シート」を取り上げていましたが、米国でも話題を呼んで、再び注目されています。
中でもここにきて注目を集めているのが「26歳でワールドシリーズに勝って結婚すること」という記述があります。これは大谷選手が子供の頃から目指していたものですが、予定より数年遅れてはいるものの、その目標として書いたことはほとんど実現しつつあります。これは大谷選手の優れているところだと思います。
目標をもって、その実現に向けて努力して歩んでいく。これはすべての人にとっても必要なことではないでしょうか。
パウロはテモテに宛てた手紙の中で次のように言っています。「あなたがたは賞を得るように走りなさい。競技をする人は皆、すべて節制します。彼らは朽ちる冠を得るためにそうするのですが、私たちは朽ちない冠を得るために節制するのです。だから、私としては、やみくもに走ったりしないし、空を打つような拳闘もしません。」(1テモテ9.24-26)と。
パウロは神が与えられた目標を目指して一生懸命に走ることを私たちに求めています。「賞を得る」、「朽ちない冠を得る」とは、まさに救いを得るという意味だと思います。ですから、私たちキリスト信者は、個人の目標よりも、信仰の目標として、共にキリストによる救いを目指して歩まなければならないのです。
大谷選手は、目標達成シートを作成しただけでなく、自分の決めたその目標の実現に向けて、今でも努力を重ねていると思います。私たちもキリストによる救いを得るという人生の最大の目標に向けて、日々努力を重ねていかなければならないでしょう。
またパウロは「やみくもに走ったりしないし、空を打つような拳闘もしません」と言っているのは、計画的に考えて歩むことの大切さを示しています。私たち人間が個人として目標を立てることは、とても良いことだと思います。それは人生を歩む活力や励みになるからです。しかし、何を目標とするか、何を目指すかを考えることが大切です。それによって私たちの生き方が決まってくるからです。永遠の救いに目を向けた生き方、これが私たちキリスト信者のこだわるべき生き方ではないでしょうか。ですから私たちは人生をかけて目指すべき目標に常に目を向けて、ひたすら走り続けてまいりましょう。
主任司祭 西本裕二